“閃光”ドネア復活 WBSSバンタム級波乱の決着…第1シード敗退
「ボクシング・WBSS1回戦、WBAスーパー世界バンタム級タイトルマッチ」(3日、グラスゴー)
WBA世界バンタム級王者・井上尚弥(25)=大橋=が優勝候補筆頭として注目される高額賞金トーナメント「ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)」バンタム級1回戦最後のカードとなるWBAスーパー世界同級王座戦が3日(日本時間4日)、英国・グラスゴーのSSEハイドロで行われ、“フィリピーノ・フラッシュ”こと元世界5階級王者ノニト・ドネア(35)が同級スーパー王者のライアン・バーネット(26)=英国=の棄権により、4回終了TKO勝ちで準決勝に進出した。
試合前の予想では近況2階級上のフェザー級で戦っていたドネアがバンタム級に落として本来の動きを取り戻せるのか疑問視されたこともあり、第1シードのバーネット有利の声が大半を占めていた。試合は意外な結末を迎える。
初回からドネアがプレッシャーをかけ、バーネットが慎重に戦いながら右パンチを返すという展開が続いた。迎えた4回2分過ぎ。ドネアの打ち終わりに、右ストレートを返したバーネットが右側の腰の辺りを押さえて、突然リング中央でしゃがみ込む。レフェリーはカウントを数えた。再開に至ったものの、再び右ストレートを出したバーネットは苦痛に顔をゆがめ、コーナーで連打を浴びた。
ラウンド終了のゴング後も右脇腹から腰を押さえてコーナーに戻る。そしてセコンドと言葉をかわし、棄権を申し出た。
WBSSバンタム級は1回戦ではこれまで井上、WBO王者のゾラニ・テテ(南アフリカ)、IBF王者のエマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)とすべて王者が防衛を果たして準決勝進出を決めていた。第1シードのバーネットが初戦で姿を消す、波乱の決着となった。来春に予定される準決勝では、井上とロドリゲスが対戦。ドネアはテテと拳を交える。
結末こそすっきりしないとはいえ、ドネアは2011年10月22日のオマール・ナルバエス(アルゼンチン)戦以来7年ぶりとなるバンタム級での世界戦で王座返り咲きを果たした。近年、適正階級とはいえないクラスで大振りを繰り返して敗北する試合も続いたが、今回は本来の鋭さも見せた。「試合に勝ち、それは私の望む勝ち方ではなかったが、それでもバーネットは素晴らしいファイターだった。年齢は数だけではない。私はスピードを生かした自分のスタイルで戦った。それは“フィリピーノ・フラッシュ”です」と納得の表情で復活を告げた。