ルイス・ネリの悪夢から10カ月…拓真の戴冠でWBCバンタム級の空白に終止符

暫定王座を獲得し、兄の尚弥(左)に祝福される井上拓真
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 「ボクシング・WBC世界バンタム級暫定王座決定戦」(30日、大田区総合体育館)

 トリプル世界戦のセミファイナルでWBC世界バンタム級暫定王座決定戦が行われ、同級5位の井上拓真(23)=大橋=が3-0(117-111)の判定で、同級2位のタサーナ・サラパット(25)=タイ=を破り、WBA世界同級王者の兄・尚弥(大橋)に続く兄弟王者となった。兄弟世界王者は国内では亀田兄弟(3兄弟=興毅、大毅、和毅)に続き2例目。

 暫定王座ながら拓真の勝利で、WBC世界バンタム級王座の空位期間は10カ月でピリオドが打たれた。

 辰吉丈一郎、薬師寺保栄、長谷川穂積、山中慎介と日本選手になじみ深いWBC世界バンタム級王座だが、昨年8月の山中の王座陥落から悪夢に包まれていた。

 山中13度目の防衛戦となった試合で迎えた挑戦者がルイス・ネリ(メキシコ)だった。ここでネリが4回TKOで王座を奪取する。しかし試合後、禁止薬物ジルパテロールの陽性反応が発覚したため騒動に。結局、意図的な摂取の根拠がないとして王座はく奪を免れ、3月に山中と再戦を行うことになった。

 その計量で再び騒動が勃発する。ネリがバンタム級の上限を1回目に2・3キロと大幅にオーバー。再計量でも1・3キロ超過し、王座をはく奪された。しかし強行された試合では、山中を圧倒。計4度のダウンを奪って2回TKO勝ちし、山中は現役引退となった。

 WBCは1位ノルディ・ウーバーリ(フランス)と3位ラウシー・ウォーレン(米国)での王座決定戦を指令したが、交渉が難航し、実現していない。王座空位が続いたため、拓真とサラパットによる暫定王座決定戦が認められた。

 ネリについては、悪質な体重超過を重く見た日本ボクシングコミッションは活動停止処分を科し、事実上の永久追放とした。ただ、この処分は国外で適用するものではなく、10月には地元ティファナで復帰。復帰2連勝でWBCシルバー王座も獲得し、WBCランキングも4位まで上げてきた。今回の敗戦でサラパットのランキングが下がることなどから、ネリがさらに上位に食い込む可能性は高く、近い将来の世界挑戦も十分考えられる状況となっている。

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