“ネリの悪夢”続いたWBCバンタム級新王者にウーバーリ 井上拓真と統一戦も
「ボクシング・WBC世界バンタム級王座決定戦」(19日、ラスベガス)
3大タイトル戦が19日(日本時間20日)、米国ラスベガスのMGMグランド・ガーデン・アリーナで開催され、WBC世界バンタム級王座決定戦は同級1位のノルディ・ウーバーリ(フランス)が3-0(115-113、116-112、117-111)の判定で2位ラウシー・ウォーレン(米国)に競り勝ち、新王者となった。
前王者ルイス・ネリ(メキシコ)の計量失格による王座はく奪から空位が続いていたWBC世界バンタム級でようやく新王者が誕生した。サウスポーの両者はロンドン五輪フライ級2回戦で対戦し、ウーバーリが勝利している。パンチ力で上回るウーバーリは、ボディーワークでパンチを外そうとする元WBA世界同級スーパー王者のウォーレンを攻め続け、アマチュア時代に続いて勝利した。
この王座は17年8月に当時の王者・山中慎介(帝拳)が13度目の防衛戦の相手にネリを迎えたところから悪夢が始まる。4回TKOで王座を奪取したネリだったが、試合後に禁止薬物ジルパテロールの陽性反応が発覚する。しかし意図的な摂取の根拠がないとして王座はく奪を免れ、18年3月に山中と再戦を行うことになった。
その計量で再び騒動が起こる。ネリが規定体重を大幅超過し、王座をはく奪された。しかし強行された試合では山中を圧倒。計4度のダウンを奪って2回TKO勝ちする。山中は現役引退となった。
王座が空位となったため、WBCはウーバーリとウォーレンによる決定戦を指令したが、交渉が難航。延期を繰り返したため、昨年12月30日にはタサーナ・サラパット(タイ)と井上拓真(大橋)による暫定王座決定戦が認められ、正規王者不在のまま暫定王者が誕生することになった。判定勝ちした井上は、今回の勝者と王座統一戦を行うことが基本線となっている。
ネリは日本ボクシングコミッションから活動停止処分を科され、日本では事実上の永久追放となったが、昨年10月に地元ティファナで復帰。復帰2連勝でWBCランキングは3位まで浮上している。近い将来、タイトル戦線へ再び絡んでくることが考えられる。
ウーバーリは15戦全勝(11KO)。ウォーレンは20戦16勝(4KO)3敗1NC。