ＷＢＯ世界フライ級王者の田中恒成（２３）＝畑中＝が１７日、名古屋市内で初防衛から一夜明けた心境を語った。挑戦者の田口良一（３２）＝ワタナベ＝を３－０判定で下した田中は、打ち合いに終始した激戦を振り返り、「いい試合になったのは間違いない」とした上で「正直、内容はほぼ納得がいっていない」と明かした。

　最大１０ポイント差がついた完勝だったが、試合のＶＴＲを見直し「全然いいボクシングができなかった。倒せなかったのが納得がいかない」と反省。防御面も含めて「×（バツ）に近い△（三角）くらいの内容」と悔しげに語り、畑中清詞会長も「１０回くらいで倒せていれば、スーパースターへのスタートだったと思う」と同調した。ただ、長年対戦を熱望してきた相手だけに、田中は「田口選手といい試合ができたことに変わりはない。試合が終わったたくさんのことを感じた。成長できた」と改めて満足感も口にした。

　今後は「興味あるのは統一戦」と他団体のベルトに関心を寄せる。将来的には１階級を上げて元３階級制覇王者の井岡一翔との対戦も視野。畑中会長は、井岡の動向次第で「（年内でも）可能性はある」と様子をうかがっている。田中は「防衛でも階級を上げるにしても、いい試合が決まる方にしたい」と話していた。