田中恒成 7回TKOでV2 スーパーフライ級転向で井岡一翔とビッグマッチも!?
「ボクシング・WBO世界フライ級タイトルマッチ」(24日、武田テバオーシャンアリーナ)
世界最速12戦目で3階級制覇を達成したWBO世界フライ級王者の田中恒成(24)=畑中=が7回2分49秒TKOで同級1位ジョナサン・ゴンサレス(28)=プエルトリコ=を退け、2度目の防衛に成功した。田中は執拗(しつよう)なボディー攻撃で3回に1度、7回に3度の計4度のダウンを奪い、最後はレフェリーが試合を止めた。
予告通り7回に仕留めた。攻勢に出た田中は左右のボディーで2度倒すと、最後は右ボディー3連発をゴンサレスの腹に突き刺し、この回3度目のダウンを奪った。挑戦者は苦痛に顔をゆがめ立ち上がったが、レフェリーが試合を止めた。
母校の中京学院大中京高が岐阜大会決勝から甲子園準々決勝まで4試合連続で七回に得点し逆転勝ちしていたこともあり、陣営は7回KOを予告していた。「7回が始まる前に会長がしつこく言うから、いけたらいこうかなと思った。あやかりました」と、王者はいたずらっぽく笑った。
木村翔(青木)、田口良一(ワタナベ)と直近2試合の日本人対決で激しい打撃戦を演じたが、それは本来の“土俵”ではなかった。「スピードを取り戻す」と原点回帰をテーマに掲げ、緩急を磨いてきた。だが、「コンディション作りがうまくいかず、体が思うように動かなかった」。4回にはプロ3度目のダウンも喫した。
「やろうと思っていたことがうまくいかなかった」という中で、17年9月のパランポン(タイ)戦以来約2年ぶりとなる世界戦でのKO勝利。「実力は付いてきてるかな」と手応えも口にした。
負けられない理由は他にもあった。7月8日に入院していた母方の祖父である水野高尋さん(享年78)が亡くなっていた。「勝利を天国に届けたい」と、リング上で秘めていた思いを明かした。
今後について、畑中会長は年末にも予定される次戦がフライ級最後の試合になると明言。来年以降はスーパーフライ級への転級が既定路線で、WBO世界同級王者・井岡一翔(Reason大貴)との対戦に期待が高まる。「いい舞台を作ってくれることを願っている」。強敵だけを追い求める田中の思いは、届くだろうか。