階級最強決定トーナメント「ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ（ＷＢＳＳ）」バンタム級決勝戦（１１月７日、さいたまスーパーアリーナ）の会見が２６日、都内で開かれ、対戦するＷＢＡ・ＩＢＦ同級王者・井上尚弥（２６）＝大橋＝とノニト・ドネア（３６）＝フィリピン＝が出席。同大会で井上の弟でＷＢＣ同級暫定王者の拓真（２３）＝大橋＝が同級王者ノルディ・ウーバーリ（３３）＝フランス＝と王座統一戦を行うと発表された。兄弟でのダブル王座統一戦は日本初。

　目標だった兄弟ダブル世界戦。過去には興毅、大毅、和毅の亀田３兄弟が複数回行っているが、ダブル統一戦は日本初だ。尚弥は「自分の試合より緊張する試合が自分の試合の前にあるのはすごく複雑。いてもたってもいられない気持ちになる」と話しながらも、「拓真を信じて、自分を信じてダブル勝利をしたい」と誓った。

　前戦から約１１カ月ぶりで、ようやく決まった試合に拓真も腕ぶす。「前から目標としてた兄弟でダブル世界戦。今まで以上に楽しみもあり、負けられない戦いになる」と言葉に力を込めた。

　そして、尚弥は久しぶりに世界５階級制覇のドネアと再会し、笑顔で握手した。映像を見て学び、１４年１２月のオマール・ナルバエス（アルゼンチン）戦の前には助言ももらっている。「一番やりたかった相手」というものの、その印象を「前から変わらない。紳士で、とても殴り合うなんて…」と話した。

　それでも勝負は勝負。当然のように具体的な対策は多くを語らなかったが、「左フックを気をつける、そこの距離にはいない、それだけ」と明かした。

　その左フックは尚弥も参考にし、得意としている。だが、「今は自分のものにしちゃってる。まんまドネアの左フックをまねるんじゃなくて、自分に合わせて吸収している」と自信をのぞかせた。

　当日は拓真から勝利のバトンを受け取れるかどうか。「控室で見るぐらい。モニターで見ている方が安心できる。じかに見るのは緊張するじゃないですか」と苦笑しながらも、「勝てば何でもいいですよ」と弟に期待した。