田中恒成 V3へブルース・リー流高速ジャブで試合を支配だ スパーリングを公開
「ボクシング・WBO世界フライ級タイトルマッチ」(31日、大田区総合体育館)
大みそかに3度目の防衛戦に臨む王者の田中恒成(畑中)が2日、名古屋市の所属ジムで練習を公開。WBOフライ級9位、IBF同級5位にランクされるジェイソン・ママ(22)=フィリピン=を相手に4ラウンドのスパーリングを行い、研さんを積んできた鋭い左ジャブを披露した。父の斉トレーナー(52)が「ブルース・リー」をイメージするノーモーションのジャブで、挑戦者、ウラン・トロハツ(中国)から試合を完全に支配する。
世界トップランカーに、鋭い左ジャブがさく裂した。実戦さながらにロープに追い詰めると、相手も負けじと反撃する。ママと約2週間で計21ラウンド。濃いスパーを打ち上げた田中は「(ママは)対応力がすごくあるので技術的にいい勉強になった」と充実した表情で語った。
高みを見据えるからこそ、足元を固める。「今まではジャブで差し負けることが多かったので1、2ラウンドでペースを取られてしまう」と現状の課題を挙げ、「次の相手にもこれからも大切なこと」と特に左ジャブを磨いてきた。
ジャブはボクサーにとって基本のパンチ。だからこそ奥が深い。王者の理想は「自分だけ当ててもらわない」。相手の距離を見切ってよけ、自分は相手がよけられないタイミングで打つ。0コンマ何秒の世界を操る。
「お手本は意識していない」という王者だが、父の斉トレーナー(52)には明確なイメージがある。「ブルース・リー。ノーモーションで打つあの感じ」と「燃えよドラゴン」で見た、予測できない一撃にインスピレーションを得たという。
「1ラウンド目からペースを握れる、そんな試合」と田中。考えるな、感じろ-。大みそかの夜は、流れるようなジャブが、挑戦者の頬をとらえる。