「ボクシング・ＷＢＯ女子世界スーパーフライ級タイトルマッチ」（３１日、大田区総合体育館）

　“戦うシングルマザー”王者・吉田実代（３１）＝ＥＢＩＳＵ　Ｋ’ｓＢＯＸ＝が、挑戦者・石麗萍（２１）＝中国＝を３－０判定で下し、初防衛に成功した。最大９ポイント差の完勝だった。

　長身でリーチも長い相手に対して距離を詰めたい吉田は、クリンチで防ごうとする相手をふりほどいて猛然とラッシュ。８回以降は右のカウンター、ワンツーなどがヒットし、優勢に試合を進めた。最終ラウンドには相手をロープに追い詰めるなどの猛攻を見せ、相手を圧倒した。

　リングサイドからは、一人娘の実衣菜ちゃん（４）の「実代、いけ～！」「ママ、頑張れ～」という声援が終始響いた。実衣菜ちゃんからは自宅で「まずボディー、それからガードしてワンツー、またガードする。わかった？」と作戦を伝授されていたと言い、「すごいトレーナー。指示は守りました」と脱帽した。

　今回は肩まわりの筋肉をつけるなど肉体改造に着手し、ＫＯを目指していただけに、試合直後は「ふがいない試合だった」と悔し涙も流した。「大みそかは選ばれた人たちだけが出られる試合。大みそかの女子の世界戦は初めてと聞いていたし、しっかりやろうと思っていたが、うまくいかなかった」と女子を牽引する責任感が涙につながった。

　それでも、まな娘からは「ママ、おめでとう」と声を掛けられ、勝利という「最低限の約束は果たせた」と安堵（あんど）の表情。正月は「アナ雪２が見たいと言っているので、しっかり娘孝行したい」と語っていた。