アマ8冠・中垣龍汰朗と松本圭佑 B級合格!異例のプロテスト 新型コロナ渦
アマチュアボクシング8冠の中垣龍汰朗(20)と18年全日本選手権バンタム級準優勝の松本圭佑(20)=ともに大橋=が4日、横浜市内の所属ジムでB級プロテストを受験し、合格した。中垣はスーパーフライ級、松本はスーパーバンタム級で、ともに5月28日にデビュー戦を行う予定。
テストは当初、11日の後楽園ホールでの興行前に行われる予定だったが、新型コロナウイルス感染症拡大防止のために3月中の興行が中止となったことから、異例の所属ジムで実施された。
テストの内容は筆記試験、スパーリング3回、シャドーボクシング1回。スパーリングでは2人が拳を交え、2回に松本が右ボディーをヒットさせれば、3回には中垣が果敢に前に出て打ち合うなど、熱い戦いを見せながらも、アマチュアエリートにふさわしい豊かなスピードと高いテクニックを披露した。
同じ年齢で高校時代に対戦経験もある2人。東農大では同級生でほぼ同時に中退して同じジムに所属、同時にプロ合格と足並みをそろえてきたライバルと言える。中垣は「記者さんがたくさんいるので、独特の緊張感がありました」と異例のテストを振り返り、「小さい頃からテレビで見ていたステージに立てるのは感慨深いというか、あっという間という感じがします」と喜びを語った。
松本との同時プロデビューには「身近に圭佑みたいな存在があって、刺激になるのはいい環境。圭佑はくっついても離れてもできる。全部のレベルが高い」と意欲十分。自身の長所を「スピードだったり距離感はトップのボクサーにも通用する自信がある」と話しつつ、「逆に、そこをつぶされたときだったり、パワーはこれからつけていけないといけない」と課題も掲げた。
デビュー戦へ向けて、「まずはプロの感覚に慣れていって、勝負できるときに確実にいい勝ち方してアピールできるようになっていきたい。(グローブの重さがアマチュアの10オンスから)8オンスになると自分にもいいし、リスクもあるんですけど、自分は当てる技術に長けていると思うので、もらわずに当てるように」と意気込んだ。
一方の松本は「あまり実感がわかないですね。場所もここ(所属ジム)なので、普通に練習をした感じ」と笑顔で振り返りつつ、「一区切りを自分の中で決めて、もうプロなんだと自覚を持ちたい」と決意。デビュー戦へ「もちろんKOを狙って。いろんな方に注目してもらえると思うので、倒すのは前提として、それまでの過程もしっかり見せたい。一発も触らせない。ディフェンスで会場を沸かせたい」とのこだわりを示した。
中垣の存在については、「自分の道しるべ。本当に真面目というか、目標を掲げたらそこへ向かって徹底してやる。練習に対する姿勢は学ぶべきところが多い。自分は練習をのほほんとやっちゃうふしがあるので、龍汰朗がいたから負けちゃいけないという思いでやっていた」という。また、大橋ジムの松本好二トレーナーを父に持ち、幼い頃から同ジムで練習していたことから、「自分の強みはちっちゃい頃からこのジムにいること」と強調。「先輩方のチャンスをものにする瞬間とか、しっかり準備している人とか、見てきたつもり。1試合1試合、どんな相手でも抜かりなく、チャンスが来たらいつでも行ける準備をしておきたい」と表情を引き締めた。
2人のテストを見届けた所属ジムの大橋秀行会長は「ディフェンスもいいし、基本もしっかりしている。プロではまだまだだと思うけど、これからキャリアを積んで力強くなっていければ。2人ともルックスもいいし、スター性は十分」と評価。2人が歩調を合わせることには「ジムの中でもライバルは必要。試合より練習の方が大変だってことが強くなる秘けつ」と力説した。