ノア・潮崎が無観客で藤田撃破!GHC初防衛 31分にらみ合い異例序盤
「プロレス・ノア」(29日、後楽園ホール)
GHCヘビー級選手権試合が行われ、王者の潮崎豪が“野獣”藤田和之の挑戦を退けて初防衛に成功した。
新型コロナウイルス感染症拡大防止のための東京都からイベント中止要請を受け、急きょ団体初の無観客で行われた大会。まったく歓声の起こらない静寂の中でゴングが鳴ると、両者は居合い斬りを思わせる、緊張感漂う視察戦を延々と繰り広げた。
「10分経過」「20分経過」とアナウンスされても全く肌を合わせず、その時間はなんと約31分にも及んだ。そして、最初に動いたのは藤田。タックルから得意のグラウンドの展開に持ち込むと、長時間上に乗って圧倒。続けて場外乱闘に持ち込むと、無観客を利用して、バルコニーや会場外のエレベーターホールにまで戦場を拡大した。
だが、潮崎は厳しい攻めを耐え抜いて、得意の重いチョップ、ラリアットなどで反撃。一時は藤田の強烈な張り手、パワーボム、サッカーボールキック2連発をたたき込まれる大ピンチに陥ったが何とかカウント2で脱出した。時間切れが近づく中、最後は豪腕ラリアット3連発を繰り出して、同王座史上最長57分47秒の死闘にピリオドを打った。
最強の外敵を撃破した潮崎は試合後、リング上でマイクを持つと、CS放送とインターネット配信の視聴者に向かって「ひとつだけ言わせてくれ。アイ・アム・ノア」と絶叫。バックステージでは、「今まで味わったことのない緊張感、そして相手の威圧感。最初見合っていたとき、ずっと押されないように、オレは耐えるしかなかったよ。あれてすごい体力を奪われたよね」と振り返った。
続けて、「お客さんが一人もいない状態で、画面の向こうで見てくれているみんなのことを思ったら負けられないし、勝つしかないでしょ」と勝因を挙げ、「独特な空気、独特な強さ。藤田選手がどう思っていようが、何を言おうが知らないけど、オレにとっては1つの防衛戦以上に得るものの大きい戦いだった。これがノアを背負う、ノアを守る戦い。これがノアですよ」と胸を張った。
初体験の無観客試合については「しょうがないことで、試合ができただけでもよかったとするべきだと思う」と受け入れながらも、「ただ、やっぱり、みんながいないと。ノアには見に来てくれる人がいないとダメだね。今日はそれを痛感しましたよ」とさみしさも吐露。だが、「苦しい。厳しい。でもそれを乗り越えていそれはかなくちゃいけない。それは1人ではできないと思うから。みんながいるからこそ、それに無観客試合で気づくことができてよかった」と収穫も口にした。
静寂の中での戦いは「違和感だらけだった」という。「この態勢がいつまで続くか分からないけど、とにかくこの状況を打破して、もう一度後楽園で、みんなの前で試合がしたい。みんなと一緒に、みんながいてのノアだそれが分かりました」と、再びファンの前で戦う日を熱望した。