元3階級王者・長谷川氏「一緒に乗り越えていくしかない」 コロナ渦も前向きに提言

 安倍晋三首相が7日、新型コロナウイルス特措法に基づく緊急事態宣言を出した。ボクシングの元3階級制覇王者の長谷川穂積氏(39)=デイリースポーツ評論家=は、スポーツ界も苦境にある中で、アスリートはこの経験を乗り越え「よりよい人生にしないといけない」と前向きに提言した。この日は神戸市内でオンラインジム「HOZUMI METHOD オンラインボクシング」を10日午前10時に開設することを発表。行動範囲が制限される時勢をふまえ、5月末まで一部を無料開放する。

 元3階級制覇王者は葛藤を抱えていた。「誰が悪いわけでもない。でも、自然災害や見えない敵には、僕も含めてみんな無力なんだと思い知らされた」

 5月末まで興行の中止・延期が要請されているボクシング界は「試合がないと食えないボクサーが8割はいる」と胸を痛める。また、経営者としても「ありがたいことに僕のジムでは会員さんがいてくださいますが、ジムはどこも大変。(神戸市内で)経営するレストランもお客さんが減っている」と言い「自粛することはものすごく大事。でも、生活できない人もいっぱい出てきている。自営業の人は従業員に給料も出さないといけない。その負担について政府には考えてほしい」と実感を込める。

 自身のジムでは30分に一度の消毒や人数制限、窓を開け放して通気をよくするなどの工夫で営業を続けている。「何も考えずに(営業を)やっている人はいないと思う。それぞれの生活があり、みんなしんどい。自粛している人も営業している人もどちらもしんどい」。だからこそ「理解し合って、一緒に乗り越えていくしかない」と言う。

 「今やれることを」と自身のオンラインジムでは5月末まで一部無料開放することを決めた。野球やサッカー選手がYouTubeなどで動画やメッセージを発信しており、「別の形でアスリートが力を発揮している」と自分たちの影響力を信じている。

 現役選手にも前を向いてほしい。「アスリートには1、2カ月でも大きいのに、先の見えないトンネルにいる。でも、この時期があったおかげでスポーツができるありがたさを知った。当たり前のことが当たり前じゃないとわかって、よりいい人生を送らないと」。気持ちだけは立ち止まるな。不屈の精神で何度も立ち上がったチャンプからのメッセージだ。

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