井岡ドーピング問題でJBCから謝罪「1つのけじめがついた」永田理事長は進退伺
ボクシングWBO世界スーパーフライ級王者の井岡一翔(32)=Ambition=が12日、都内で日本ボクシングコミッション(JBC)の永田有平理事長(66)と会見。昨年12月31日の田中恒成(畑中)との防衛戦でのドーピング検査で違反の疑いをかけられた件について、JBC側からの謝罪文の提出を受けたことを発表した。
井岡は「直接謝罪を受けることは私が最も重要視して求めてきました。謝罪を受けたことですっきり解決したという気分ではありませんが、一つのけじめとして受け入れたい。JBCは私が指摘した誤りをすべて認めて謝罪をしてくれました」と述べた。
井岡は所属ジムが5月31日に、日本プロボクシング協会に(1)JBC役員の退任(2)個人情報がマスコミにリークされた原因の追及(3)ドーピング検査の整備(4)井岡・田中両選手に対しての誠意ある謝罪-の4点を求める上申書を提出していた。
永田理事長は謝罪文の内容について「井岡選手とご家族に個人的にあてた謝罪」とし、ドーピング検査がずさんだったこと、井岡の家宅捜索を招いたこと、事実に反する情報漏えいがあったことで多大な井岡と家族に心労をかけたことと、反ドーピング体制の構築、情報漏えいの管理を記していると説明した。
9月に同級2位フランシスコ・ロドリゲス・ジュニア(28)=メキシコ=と防衛戦を行うと海外で報道されており、「これで一つのけじめがついたので、スポーツマンらしく前だけを向いて、防衛戦に勝つことへのトレーニングと努力に集中していきたい」と意気込んだ。
永田理事長は、井岡側の求めに退任があったことについて、自身と浦谷信彰執行理事が長岡勤コミッショナーに進退伺を提出したことを明言。JBCが立ち上げた情報漏えい調査委員会が終了した後、8月末頃に理事会で処分が決まる見通しを示した。
辞任を選ばなかったことについては「勝手なことはできない。理事会で私の管理責任を審議してもらいたい」と説明。これについて井岡は「進退のことはボクがどうこう言うことではない。後はジムと関係者の方に任せようと思う。ボクをはじめ家族が味わった苦悩は謝られて済む問題ではない。それをいつまでもJBCに言い続けることもできないし、ボクも現役生活がある。そのはざまで自分の中で気持ちの整理、決断をしないと思っていた。許す許さないの問題ではなく謝罪は受け入れてボクも次ヘ進んでいかないといけない」と語った。代理人の服部真尚弁護士も「一定の評価はしているので謝罪を受け入れた」と語った。
また、永田理事長は反ドーピング体制の構築について、すでにこれまでの簡易検査をやめて精密検査を採用していると明かし、「最終的にはJADA(日本アンチ・ドーピング機構)がやっているようなもの、JADAに加盟するのは難しいと思いますが、ボクシング独自のものを作っていきたい。それには多少時間がかかります。パラリンピックが終わるまでは機関に相談もできないので、それが終わり次第作っていきたい。年内には何とかと思っている」との考えを示した。
◆井岡のドーピング騒動経緯 井岡が防衛に成功した試合前、JBCがドーピング検査のため選手の尿検体を採取。検査機関に持ち込まれるまで検体の保管は常温か、JBC職員自宅の冷蔵庫の中だった。A検体は簡易検査で大麻成分が検出。B検体の精密検査で大麻成分は検出されず、エフェドリンなど3種の禁止物質が微量検出された。井岡側に説明のないまま、JBCは3月に結果を警視庁に報告。井岡は4月に警察の聴取を受け違法ではないと認められた。倫理委員会で調査を進めたJBCは5月19日、検体保管不備による腐敗が検査結果に影響を与えたことを否定できないとし、ドーピング違反にあたらないとして謝罪の意を示した。