新王者・矢吹正道 今後については白紙強調「一番強い選手とやりましたから」
ボクシングWBC世界ライトフライ級新王者の矢吹正道(29)=緑=が23日、王座獲得から一夜明け、所属ジムからオンライン会見を行った。8連続防衛中の寺地拳四朗(29)=BMB=を10回TKOで破り王座に就いた矢吹は試合直後に引退の可能性にも触れていたが、「まだそこまで何も考えてない。昨日言った通りです」と今後については改めて白紙を強調した。
両目が大きく腫れてサングラス姿で会見に臨んだ新王者は「顔が腫れているんで寝たらだめということでずっと起きていました」と一睡もせずに世界王者として初めての朝を迎えた。前夜のうちにマイクロバスで名古屋に戻り、会見に備えてジム近くで過ごしたため、まだ家族には会えていない。恭子夫人(28)とは電話では話したという王者は「本当にすごかったな、やったなみたいに言われましたね。でも電話があったのは夜中やったんで子供らも寝てましたし」と長女・夢月ちゃん(11)、長男・克羽くん(8)との再会を待つ。
試合後の会見では、この試合に懸けていたため引退してもいいということも示していたが、一夜明けても大きな気持ちの変化はないという。「まあ一番強い選手とやりましたから」と8連続防衛中の拳四朗にKO勝ちした達成感も漂わせた。一方で、世界王者となったことでビッグマッチが舞い込む可能性もある。「そうなったら考えます」とも話した。
飯田覚士、戸高秀樹に続く3人目の世界王者を誕生させた緑ジムの松尾敏郎会長は「自分の選手がこんなにすごい試合をしてくれるなんて逆に僕が感動しました」とたたえる。今後についても「彼は自分の意見はしっかり持っていますから。チャンピオンになってまたいろいろ自分の中で決めていると思いますよ。僕はそれを支持するだけですから大丈夫です」と話した。
22日に京都市体育館で行われた試合で矢吹は序盤から思い切りのいい強打を打ち込み、ポイントで優勢に立つ。9回から捨て身の反撃に出た拳四朗と壮絶な打撃戦を演じ、10回2分59秒にレフェリーストップで勝利を呼び込んだ。