輪島氏の孫・磯谷大心 TKOデビュー “炎の男”3世、ボディー連打で衝撃の船出
「ボクシング・4回戦」(14日、後楽園ホール)
元WBA・WBC世界スーパーウエルター級王者の輪島功一氏(78)の孫、磯谷大心(20)=輪島功一スポーツ=がデビュー戦で、同じくデビュー戦の羽賀彬光(35)=DANGAN越谷=に1回TKO勝ちした。輪島氏も客席の最前列で見守る中、開始から得意のジャブで攻めていき、左右のフックでダウンを奪うと、直後に連打を浴びせてストップを呼んだ。
“炎の男”と呼ばれた昭和のスーパースターのDNAを受け継ぐ若者が令和に躍動した。182センチの長身で端正なマスクを持つ磯谷は入場から緊張した面持ち。元日本ランカーで父の和宏トレーナーが現役時代に着用し、ベルトの背中部分に自身の名前が記されたトランクスを身につけてリングに立った。長いリーチを生かした左ジャブを繰り出すが動きが固く、右ストレート、左ボディーを被弾する。それでも打ち合いの中、左右のフックでふらつかせると連打でダウンを奪い、立ち上がった相手にボディーへの連打などを浴びせて勝負を決めた。
偉大な祖父を持つことで注目を浴び、期待をされたことで緊張したという磯谷はリング上のインタビューで「勝ててよかったです」と安どの表情。試合直後に祖父からは「普通に勝って、完璧な試合すぎて面白くねえよ」と言われたという。
白星の船出にも「焦りというか緊張もあって、距離感がいつもより近くなった」と反省。当面の目標は来年の新人王で、「周りのみんなが安心して見られるようなボクサーになりたい」と、目指すボクサー像を語った。
輪島氏は「打ってきたら避ける。逃げるんじゃない、避けて打つ。そういう意味で今日はすごくよかったんじゃない」と合格点。輪島氏は対戦相手の前で風邪をひいたふりを見せ、試合ではかえる跳びで意表を突くなど、頭脳戦を駆使したことでも知られ、「頭はもっともっと使わないといけない」と孫に力説。そして、孫がチャンピオンベルトを腰に巻くことを「当然だと思っている。どれぐらい早く行けるか」と期待した。