“勘当娘”野崎渚が井上京子と恩讐を超えた師弟対決!恩返しはお預け
「プロレス・WAVE」(7日、後楽園ホール)
デビュー15周年を迎えた女子プロレス団体「WAVE」の王者・野崎渚(30)がこの日、ディアナのWWWDシングル王者・井上京子(52)とノンタイトルの記念マッチで激突。12年6カ月ぶりに実現した“奇跡の師弟対決”は15分8秒、ナイアガラドライバーに屈し“恩返し”はならなかった。
恩讐を超えた戦いを終えた野崎は、深々と頭を下げ「迷惑をかけた自分とシングルをやってくれてありがとうございました。京子さんを倒すまで引退はしません」と、師匠の手荒い祝福に感謝した。
06年11月、NEOの後楽園ホール大会で初陣に臨んだ野崎は、京子のパートナーとしてダイナマイト関西、井上貴子組と対戦した。だが、その後は肩の脱きゅう、眼窩底骨折など負傷に泣かされた。一方、師匠の京子は10年5月、解散(12月)を控えたNEOを突然退団。翌11年4月にディアナを旗揚げし、野崎も参加した。
しかし京子の退団をめぐって生じた溝が、師弟の運命を狂わせた。同年5月、野崎は無断欠場を理由にディアナから解雇処分を受けた。フリーに転進したものの故障が相次ぎ、15年間の活動のうち6年7カ月もリングを遠ざかった。WAVEの旗揚げ10周年大会(17年8月12日・大田区総合体育館)で復帰する際も4年7カ月のブランクがあった。
当初は引退を見据えた再起だったが、体の復調とともにマット活動も充実。団体の主軸となり、頂点に立った。18年10月には京子の“30周年恩赦”でディアナのタッグ・トーナメントに招かれた。二度と交わることはないと思われた2人の関係も修復に向かい、今回は自らの15周年マッチの相手に京子を指名した。
初一騎打ち(09年5月24日・ラゾーナ川崎)は、ラリアート1発で敗退した。だが12年半の歳月を経たトップ対決では「今なら勝てるかもしれない」とドルミル3(胴絞め式羽根折り顔面固め)、ノアールランサーを繰り出して奮戦。しかし仁王立ちする京子の壁は厚かった。
野崎は「強くなったという自覚はあっても超えられない人。でも絶対に倒す」と“師匠超え”を改めて誓った。一度は勘当した野崎と握手を交わした京子は「時間がいろんなことを解決してくれる。自分がまだプロレスをやっていられるのも、野崎とシングルを戦えたことも奇跡。お互いチャンピオンだし、負けられなかった」と、再会マッチの心境を吐露した。
記念のリングには三田英津子、元気美佐恵、田村欣子、タニー・マウス、仲村由佳、勇気彩のNEOのOGも集結した。NEO出身の現役は京子、野崎、宮崎有妃の3人だけとなったが「NEOで学んだことをベースに頑張っている。胸を張ってこれからもプロレスを続けていきたい」と目を輝かせた。