拳四朗が現役続行表明 矢吹と再戦「自信を取り返すのは負けた相手に勝つこと」
ボクシングの前WBC世界ライトフライ級王者の寺地拳四朗(29)=BMB=が24日、都内で会見を開き、現役続行を正式に表明した。
9月22日に行われた矢吹正道(緑)との9度目の防衛戦で大激闘の末に10回TKO負けして以来、初めて公の場に姿を見せた拳四朗。まずは「負けてしまったということで、最初は本当に何も考えられない状態で、ショックがすごく大きくて、今まで発言も何もできなくて、すみませんでした」と謝罪した。
試合は偶然のバッティング(ヒッティングから訂正)で右目上から出血したこともあって、WBCから再戦指令が出され、すでに両陣営も再戦で合意。「今はプレッシャーからも解放されてリフレッシュもさせてもらって、今後また頑張ろうという気持ちになった。再戦指令もいただいたので、今はすごくやる気になって、頑張ってまた世界チャンピオンになろうと思っています」と再起を宣言し、世界王者返り咲きを誓った。
現役続行を決めた時期は試合から約3週間後。それまでは自宅に引きこもっていたといい、「最初は1回負けたらやめようと思っていたのはあったんですけど、やっぱり悔しさとかが出てきて、あとは応援して下さるファンの方に、また頑張って欲しいという声をたくさんいただいたので、ボクも新しい第2のストーリーをもう一度みんなに見てもらえたらうれしいなという気持ちが強くなった」と説明した。
再戦指令が決断に与えた影響は「大きいと思う」と話し、「負けるのは自信もなくなるし、それを取り返すには負けた相手に勝つこと」と雪辱の意義を強調。具志堅用高が持つ世界王座13度防衛の日本記録更新の目標が絶たれたことには、「しょうがない。別の選択肢も増えるので、新しいチャレンジができるとワクワクしています」と前向きに受け止め、具体的な目標を問われると、「(2階級制覇は)考えたりはしますね。防衛回数はなくなったので、その階級にいる意味はあんまりない。減量はずっとしんどいですけど、いけるといえばいける。統一戦とかが出てきたらそっちに行ってもいい。どの動きもできるようにしたい」と話した。
矢吹戦については、まだ映像は見ていないというが、距離を保ちながら左ジャブを突いていくプラン通りの戦いを見せたが、4回終了後の公開採点でリードを許す誤算もあり、「ちょっとヤバいなというのはあった。後半は行くしかないとなって、必死で考え通りにできなかったかもしれない」と振り返った。9回には攻勢に出たものの倒しきれずバッティングで右目上から出血し、10回に壮絶な打ち合いの末に残り1秒でレフェリーストップ。「必死だったので、止められた瞬間は、あ、終わったなという感じ。あと何秒とかあんまり考えられなかった」と話した。
敗因を問われると「まだ詳しくトレーナーと話していないので、映像を見てから答えられれば」と話しつつ、「負けで終わるのは悔しいし、ボクシングを全然できる年齢でもある。また輝きたいな、というのもある」と意欲十分。バッティングに関して父の寺地永会長がJBCに故意ではないかと主張する質問状を送付するなどの騒動があったが、「ボクがどうこう決める話ではない。何も言うことはない。結果が出ているので。(質問状は)会長ならそういうのは普通じゃないかと思う」との考えを示した。
負傷は15針縫ったという。今後のトレーニングについては、永会長が「体作りを始めたばかりなので、年内はそれに終始する。年明けぐらいから暖かいところで走り込みでもしてからジムワークに入ろうかなというスケジュール」と明かし、再戦の時期については「まだこれからなので、プロモーターと相談してから」と話した。
また、拳四朗は今後、東京での練習拠点である三迫ジムを運営する三迫プロモーションがマネジメントを担当することも発表された。