村田VSゴロフキン 「奇跡」ビッグマッチ苦難続きも実現
「ボクシング・WBA・IBF世界ミドル級王座統一戦」(9日、さいたまスーパーアリーナ)
ミドル級王座統一戦で、IBF世界同級王者のゲンナジー・ゴロフキン(40)=カザフスタン=が、2012年ロンドン五輪金メダルでWBA世界同級スーパー王者の村田諒太(36)=帝拳=に9回2分11秒、TKO勝ちした。ゴロフキンは2団体の王座を統一し、IBFは2度目の防衛。
日本ボクシング史上最大のビッグマッチはコロナ禍にほんろうされ、帝拳ジムの本田明彦会長が実現することが「奇跡」と言うほどの苦難が続いた。
当初は2021年12月に予定されていたが、オミクロン株の水際対策による外国人新規入国禁止のため延期。ゴロフキン陣営の来日に備えて、隔離用に高級ホテルのワンフロアを借り切った費用約4000万円が無駄になった。
ゴロフキン陣営と生中継したアマゾンのプライムビデオの理解もあって2月に再設定されたが、年末年始を挟んだことでスポーツ庁の判断の返事が遅れたことで断念。4月に再設定されたが、本田会長は「4月にかけるしかない。なくなったらあきらめる」という“背水の陣”。だが、その後も感染者数が高止まりする厳しい状況が続いた。
実績十分の両者のファイトマネーは合計20億円以上と推定される。3月末にゴロフキン陣営が来日したが、貨物便を急きょ転用した、一般客は25人しかいない“半チャーター便”で、この経費が数千万円。さらに、再び隔離のためにホテルを借り切った経費約4500万円が上乗せとなった。
本田会長は前日「コロナじゃなければそれほど難しい興行でもない」と話しながらも、「明日成立すれば、一つの仕事は終わった」と安どの表情を浮かべていた。