村田諒太 ゴロフキンにTKO負け 歴史的なシーンに立ち会えて感謝
「ボクシング・WBA・IBF世界ミドル級王座統一戦」(9日、さいたまスーパーアリーナ)
ミドル級王座統一戦で、IBF世界同級王者のゲンナジー・ゴロフキン(40)=カザフスタン=が、2012年ロンドン五輪金メダルでWBA世界同級スーパー王者の村田諒太(36)=帝拳=に9回2分11秒、TKO勝ちした。ゴロフキンは2団体の王座を統一し、IBFは2度目の防衛。
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衝撃のプロデビュー戦、ラスベガスでの防衛戦、感動の王座奪回、そしてゴロフキン戦など、村田が見せてくれた歴史的な現場に立ち会えたことは記者にとって冥利(みょうり)に尽きる。
村田の取材現場は示唆に富んだコメントとユーモアにあふれ、うなずかされることが多い。だが、今も記者の記憶から消えないのは、ロンドン五輪金メダルからプロ入りまで、村田がアマチュアボクシング界とのあつれきに悩める日々を過ごしていたときのことだ。
村田がプロ入りするといううわさが流れた頃。記者は功を焦り、村田が難しい立場にいることを理解しながらも、顔を合わせるたびに手に入れた情報をもとに質問をぶつけて困惑させることを繰り返した。
さすがに、うんざりさせてしまったのだろう。ある時、村田は「もう、そんなにいじめないでくださいよ…」とつぶやいた。金メダリストが見せた悲しげな顔を見て、記者は自身の行いを恥じた。
世紀の一戦の日に自身の反省話を記すのも失礼かもしれない。だが、日本ボクシング史上だれもたどり着かなかった世界を見せてくれた村田には感謝しかない。ありがとうございました。(ボクシング担当・洪 経人)