村田諒太 歴史刻んだ20億円マッチ 超えられなかったゴロフキンの壁 TKO負け

 「ボクシング・WBA・IBF世界ミドル級王座統一戦」(9日、さいたまスーパーアリーナ)

 ミドル級王座統一戦が行われ、WBA世界同級スーパー王者の村田諒太(36)=帝拳=は、IBF世界同級王者ゲンナジー・ゴロフキン(40)=カザフスタン=に9回2分11秒TKO負けした。ファイトマネーの合計が20億円以上と推定される日本ボクシング史上屈指のビッグマッチに、日本中の熱い視線が注がれた一戦。試合後、本田明彦会長は村田の引退を示唆した。

 日本ボクシング史上最大と言われる世紀の一戦で壮絶に散った。憧れの存在だった世界的スター、ゴロフキンと対峙(たいじ)した村田。序盤から持ち味のフィジカルを生かして圧力をかけて相手を下がらせ、左ボディーなどを効果的に突き刺して、序盤は優位に試合を進め、番狂わせの予感に場内はどよめいた。

 だが、5回から圧力を強めたゴロフキンのジャブを中心とした多彩なコンビネーションに下がる場面が目立ち、6回には右フックでマウスピースを飛ばされた。そして、ダメージの蓄積の色が見えた9回、右耳付近に強烈なカウンターの右フックを浴びてプロ初ダウンを喫すると、陣営がタオルを投入。試合後、ゴロフキンから何度も抱擁で健闘をたたえられ、観衆から大きな拍手が送られた。

 KO率8割超の強打者との戦いだったが、村田は相手との差に技術力を挙げた。「ブロッキングの隙間にうまくパンチを入れてくる技術の高さ、ボクシングの完成度、幅の違いを感じた」と脱帽。タオル投入については「きついなと思っていたので、当然だったと思う」と話した。

 気丈に振る舞っていたが、試合中に笑っていた理由を問われると言動に変化が。所属ジムの本田会長から「楽しんでこい」と言われて「そうだよな」と思ったからと説明したが、金メダリストとして負けられないことを義務づけられ「プロに来て全然楽しくなくて。でも最後に楽しんで来いよと言われたのがすごくうれしくて。楽しんでいいんだと」と話すと、思わず涙をこらえた。

 村田にとってゴロフキン戦の意味は「最強を証明」することだった。数々の栄冠を手にした男の「最強」とは「ボクシングを始めたときの気持ちとか、何にこだわってきたんだろう、何を表現したくて生きてきたんだろうと思ったときに、結局これなんだな」と語っていた。最強を証明できなかった心境は「ああ負けたんだという事実を受け入れ始めて感情とかも湧いてくると思う」と話した。

 今後、村田はどこへ進むのか。世紀の一戦開催に尽力した本田会長は「2人(自身と村田)とも勝っても負けても最後と思っていたと思う。村田もまさかまたやるとは言わないと思う」と引退を示唆した。最強の相手と繰り広げた最高の戦いが最後になってしまうのだろうか。

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