【長谷川穂積の拳心論】ジャブとプレッシャーで相手を消耗させた井岡
「ボクシング・WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ」(13日、大田区総合体育館)
世界4階級制覇王者・井岡一翔が大差判定3-0でドニー・ニエテスにリベンジし、5度目の防衛に成功した。2018年大みそか、プロ2敗目を喫した元世界4階級制覇王者との技術戦を制し、執念の完封。両目をカットさせ、“血祭り”にした。日本選手最多の世界戦20勝目を挙げ、7月中に生まれる第2子に、パパが一足早い誕生祝い。切望するビッグマッチ、他団体との王座統一戦へ前進した。
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手数の井岡選手、パワーのニエテスの戦いとなった。上下に散らす井岡選手のジャブは相変わらず素晴らしかった。40歳になったニエテスも年齢的にパフォーマンスを上げることが難しい中で、いいコンディションで挑んでいるように見えた。
しかし、カウンターを狙う分、どうしても手数が少なくなる。そこで井岡選手が、手数でポイントを取りにいった。ジャッジの好みが分かれる試合だが、後半になるにつれてペースをつかんだ。
ニエテスは、膝の柔らかさを生かして上体を大きく動かし、体のバネを生かして戦うような戦い方。若い時ならスタミナを気にせず戦えるが、このスタイルはスタミナをかなりロスする。そこに井岡選手がジャブと前に出るプレッシャーをかけてさらに消耗させたことで、ラウンドが進むにつれてジリ貧の状態へと陥れた。
この階級で倒すボクシングから負けないボクシングに変えて防衛を重ねる井岡選手。今後は統一戦などモチベーションが上がる試合をしてほしい。