武藤敬司 引退マッチは2・21東京D 大好きな矢吹丈のように「白く灰になりたい」
プロレス団体のノアは7日、都内で会見を開き、所属選手の武藤敬司(59)が来年2月21日に東京ドームで引退試合を行うと発表した。ノアの東京ドーム大会は2005年7月以来17年7カ月ぶり。武藤は、好きだというボクシング漫画「あしたのジョー」のように「すべてを出し尽くして、白く灰になりたい」と決意表明。対戦相手は未定だが、同日入門し、デビュー戦の相手でもあった蝶野正洋(58)に対戦を執ように要求した。
多くの名勝負を繰り広げた大舞台で最後を飾ることになった武藤。「レスラー冥利(みょうり)に尽きる。非常にうれしいことだと思っております」と感激した。
ノアを運営するサイバーファイトの武田有弘取締役は、東京ドームを選んだ理由を「不朽不滅の名レスラーを送り出すのに一番ふさわしい会場」と説明。最終的には50億円以上売り上げたという、キックボクシングの那須川天心-武尊戦に刺激を受けて開催に動いたといい、入場料の最高額は50万円に設定された。
対戦相手は未定で、武藤が「候補が数人いる中で話し合いとかが必要。後から出て来るゲストも候補なんだけどな」と口にすると、蝶野が登場。だが、蝶野は昨年12月に受けた脊柱管狭窄(きょうさく)症手術のリハビリ中で「たぶん間に合わない」と出場を否定し、中継の解説を務める考えを示した。
武藤はこれにめげず、蝶野が試合から遠ざかっているものの引退していないことで「チケットが売れなかったら、お前も引退しようよ」と呼びかけたが、蝶野は最後まで承諾しなかった。
大会はノアだけでなく、他団体の選手も参戦するオールスター形式になるという。武藤はもう1人の闘魂三銃士である橋本真也さん、ノア創業者の三沢光晴さんが引退試合を行わずにこの世を去ったことに触れ「その人たちの分も、ある意味背負ってできたらな、と思います」としみじみ語った。
◆武藤敬司(むとう・けいじ)1962年12月23日、山梨県富士吉田市出身。柔道で全日本強化指定選手にも選ばれるなどし、84年10月に新日本でデビュー。88年からの米国遠征ではグレート・ムタとなって絶大な人気を博した。90年に帰国後は蝶野正洋、橋本真也と闘魂三銃士と呼ばれてトップスターとして活躍。02年に全日本へ移籍し、社長に就任。13年にはWRESTLE-1を設立したが、20年4月に活動休止となり、21年2月、ノアに2年契約で正式入団した。同年11月にはGHCタッグ王座を獲得し、高山善廣に続く史上2人目となるメジャー3団体(新日本、全日本、ノア)のシングルとタッグ王座の完全制覇を達成した。188センチ、110キロ。