アントニオ猪木さん“闘魂”通夜 レジェンド戦士集結“一番弟子”藤波思いはせる
1日に79歳で死去した元プロレスラーで元参院議員のアントニオ猪木(本名猪木寛至)さんの通夜が13日、都内の斎場でしめやかに営まれた。家族葬の形で行われ、喪主は実弟の啓介氏が務めた。近親者に加え、元プロレスラーで新日本プロレス相談役の坂口征二氏(80)、一番弟子といえるプロレスラーの藤波辰爾(68)、新日本プロレスの棚橋弘至(45)やオカダ・カズチカ(34)ら333人が参列した。告別式は14日に行われ、後日にお別れの会を予定している。
パラパラと降っていた涙雨が、参列者を出迎えるように、通夜の開始時刻に強さを増した。祭壇は白を基調にし、猪木さんの象徴である闘魂タオルの形に赤い花を敷き詰めた。卍固めをかけるプロレスラー時代の雄姿、笑みを浮かべる国会議員時代のもの、拳を突き上げるタレント時代、3枚の写真が遺影として並んだ。
戒名は闘覚院機魂寛道居士(とうがくいん・きこんかんどう・こじ)。代名詞の「闘魂」に加え、1998年4月4日、東京ドームの引退試合で朗読した「道」も刻印。「迷わず行けよ 行けばわかるさ」-。79年の闘いと生きざまが9字に込められた。
猪木さんに憧れて入門し、付き人も務めた藤波は「遺影を見上げて、見つめるのが精いっぱい。自分の人生を変えてくれた方。ありがとうございましたという言葉しかない」と心境を吐露。「いい顔してましたね」としみじみと話すと「『バカヤロー!メソメソしてんじゃねえ!!』とか言われそうな気がしますね」と思いをはせた。
伝えたいことを問われると約20秒間、沈黙。「もう少し、話をしたかった。あれだけ試合で戦っていながら、猪木さんの前に行ったら何も言えないんですよね。それが悔やんでならない」と言葉を絞り出した。
猪木さんの存在を「僕の人生そのものというか、いろんな道しるべ」と表現。「これからわれわれが、下の世代に猪木さんの闘魂を伝えていかなきゃいけない」と闘魂伝承の意志を示した。
猪木さんに薫陶を受けた新日本最後の世代といえる棚橋は「感謝を伝えてきました」と神妙な表情。名前の「至」の字は、父が猪木さんの大ファンだったことが由来だと説明し「僕は生まれながらにして、プロレスラーになることを運命づけられていた。同じ1字を受け継いでるんだったらね、もっと精進して、高みを目指して頑張ります」と誓った。