強敵に逆転勝ちで技能賞の二階堂「やっと日の目を見た」先輩拳四朗を追う 新人王西軍代表決定
「ボクシング・新人王戦西軍代表決定戦」(6日、エディオンアリーナ大阪第2競技場)
12階級で行われ、技能賞にはフライ級の二階堂迅(21)=ディアマンテ=が輝いた。西軍代表は12月17日、後楽園ホールで東軍代表と全日本新人王決定戦に臨む。
二階堂は実力者の坂井涼(畑中)を相手に逆転勝ち。判定2-0の接戦をものにした。坂井は岐阜・中京高で東京五輪銅メダルの田中亮明監督の指導を受け、田中監督の弟で世界3階級制覇王者の田中恒成と同じ畑中ジムに所属する。
注目の高かった相手に序盤こそ攻められ後手に回り、ポイントを許したが冷静だった。坂井の試合映像で後半は運動量が落ちることをチェック。狙い通り3、4回にスピード、ジャブで反攻。自身のペースに持ち込むと、最後まで攻め切った。
1人がドロー。2人が1ポイント差で僅差勝利。「もっと楽に勝ちたかった。相手の土俵で戦ってしまった」と反省しきりながら、「どんな形であれ勝てたのは僕の力になっている。自信にもなる」と力を込めた。
技能賞という勲章に「アマチュアで悔しい思いをしてきた。やっと日の目を見たかな」と笑顔。磨いてきた技術が認められたことをかみしめた。
父は元世界3階級制王者の長谷川穂積の大ファンという影響で、小5からボクシングを始めた。浪速高-関大とアマチュアでは大きな実績は残せず。ディアマンテジムで指導を受ける元WBOアジア太平洋スーパーフェザー級王者の野上真司氏から「プロの方がチャンスはある」と助言され、関大在学中にプロ転向を決断した。
関大ボクシング部の総監督、監督に退部を伝える際は「本当に緊張した」と言うが、決意を伝えると「頑張れよ」と背中を押してくれた。だからこそ「恩を返さないと。全日本新人王を獲って関大ボクシング部の力になったらいい」と誓う。
大きな刺激もあった。同部OBの寺地拳四朗(BMB)が1日のWBA・WBC世界ライトフライ級王座統一戦で豪快にTKO勝ちし、2団体王者に輝いた。テレビで目に焼き付け「本当にすごかった。ああいう風になっていったら楽に勝てるんだなと。距離感とかジャブとかまねして取り入れていけたらと思う」と偉大な先輩の後を追う。会ったことはないがOB会で拳四朗のサインをもらったことがある。いつか世界王者として肩を並べることを夢見る。
ディアマンテジムは野上氏と会長の野上奈々(現役時は好川菜々、元女子WBO世界、WBC暫定世界フライ級王者)夫妻が指導する。二階堂は「奈々会長から『練習は100出し切ると自分が思えたらいい。自分ができる最大でやること』と言われた言葉は今も残っている」と感謝する。夫妻のためにも新人王は絶対に獲る。