引退試合を終えた武藤敬司【一問一答】「締めくくりは蝶野にしたかった」「思ったより悲しくもなんともねえな」

 歓声に手を広げて応える武藤(撮影・棚橋慶太)
内藤哲也(右)に低空ドロップキックを見舞う武藤敬司(撮影・棚橋慶太)
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 「KEIJI MUTO GRAND FINAL PRO-WRESTLING “LAST” LOVE ~HOLD OUT~」(21日、東京ドーム)

 ノアの武藤敬司(60)が新日本の内藤哲也(40)との引退試合に臨み、最後は内藤の必殺技「デスティーノ」で3カウントを奪われ、敗れた。試合後はデビュー戦の相手だった蝶野正洋(59)をリングに呼び込み、追加の“ラストマッチ”を敢行。大歓声に包まれた中、39年間のプロレス人生を終えた。以下、試合後の一問一答。

 (足を引きずって会見場入り)

 「おかげさまで、自分の足で。ちょっとそこまで車椅子で来たんだけど。まあ自分の足で帰りました」

 -引退試合を終えての感想は。

 「感想?なんかそれほど悲しくもないし、まだここまでの道のりのがしんどかったな。終わってみたら、やっと終わったかなっていう感じで。ですね」

 -内藤選手に。

 「いや、もうね。指名した時から。もしかしたら彼がもしこの後ね、プロレスビジネスが落ちたらあいつのせいだよ。そういうの観察しときますよ」

 -試合途中に袈裟斬りチョップ、DDTなどを出した。

 「そうっすね。ただやっぱり慣れた訳じゃないからね、なかなか決めるにまでは至らなかったっすね。しかも、自分のムーンサルトもね、飛ぶガッツがなくてね。昔ね。プロレスのためには足の1本や2本あげてもいいっていうようなこと言ったことはあんだけど、やっぱりあげれなかったな、ちょっと俺は嘘つきだよ。あそこで躊躇しちゃったよ」

 -ムーンサルトを出そうとしたときに考えたことは。

 「もう家族の顔とかさ、医者の顔とか。みんなしかもみんな怒ってる顔なんだよ、それが出ててきてね、うん、躊躇しちゃったよ」

 -最後に3カウント。

 「いや、もう天井見てたよ。広いな天井はって。ああやって東京ドームのど真ん中で仰向けで寝れるのもそうないことだし。嬉しかったです。うん」

 -最後は蝶野さんと。

 「これはね。どうしてもやりたかったことなんだよ。なんだかんだ言って、蝶野でデビュー戦一緒にやって。締めくくりは蝶野にしたかったんだよ。よくあいつあそこまで動けたよ。うん、大したもんだよ、アドレナリン出てたよあいつ。うん、嬉しかったです期待に応えてくれて」

 -引退は10カウントが恒例。こだわりはあったか。

 「いや。あんまり。やっぱりなんとなくあっさり終わりたい。まあ、カラッとしてんじゃん俺。あんまりじゅくじゅくじゅくじゅくしたくないじゃん。いい終わり方だと自分でも思います」

 -ゴールのないマラソンといったプロレスを今日ゴールしてみて、どんなマラソンだったか。

 「今年で39年間。途中厳しかったこともあるよ。やっぱりなんつったって怪我が絶えなかったし。今回も1ヶ月ね、ハムストリングの肉離れにはほんと参っちゃってね。幸いにも今日、やっぱりあの治療とか一生懸命やってたから。リハビリとか。もう思った以上に、自分の中でも動けてよかったですよ。これは誰しもね、抱えることだから怪我とかね。うん、なんかゴールね、できてよかったです。多くのレスラーがこういう風に引退試合ができてない中で、本当に俺は幸せなプロレス生活でした」

 -悔いはあるか。

 「試合の中の悔いはもうすんげえあるよ。なんかもう少しできなかったかな。今すごい反省しながらこの道、次がないのにね。うん、なんか次がないのに、なんか次こうしたいな、なんていうような気持ちで。なんかまだ、自分でもしかしたら引退するっての実感できてねえのかもしれない。こうしてりゃよかったのにな、とかさ。細かいこといっぱいあんだよ、うん」

 -もう1回リングに上がりたいという気持ちは。

 「えっ、もうけじめつけたんだからよ。そんなこと言わないでくれよ。後ろ髪引かれんじゃんか。うんうん。もうやめるよ」

 -これからの夢は。

 「いつも言ってんじゃん。もう普通のおじさんになりたいって。普通のおじさんになるのもなかなか大変なんだよ。人工関節の足も抱えてるし、なんとなくまともにも歩けないし。普通のおじさんまともに歩けるからな。ゴルフ行ったり、そういうのもできないんだから俺。普通のだからゴルフ行けるような体になりたいですよ」

 (一人で)

 「思ったより悲しくもなんともねえな。じわじわ来るんだろうな。多分ね。後から。後からじわじわくんだよこれ。明日から何すればいいのかな俺」

 -トレーニングはするか。

 「トレーニングするよ。トレーニングしないと人工関節とか、トレーニングしないと骨弱ったら合わなくなってくるからね。そういう意味も含めて普通のおじさんになりたいって言ったんだから。自分で。歩いて活動できるぐらいにしたい」

 -生活は変わらないか。

 「1日のルーティーンは変えないつもりでいますよ」

 -体が元気になってきたらどうするか。

 「これだけ盛大に祝ってもらって、また復帰してたら、詐欺で捕まっちまうよ」

 -これからのプロレス界に。

 「古舘さん、コメントってかなんて言うんだ聞いてて、猪木プロレス終演だっていうようなこと言ってましたよね。うん。俺もそう思うし。今からは新しいプロレスというものが生まれてくるんじゃないですかね。この興行もね、ペイパービューとかでね。放映したりして。どのぐらい俺、見てる人がいるのか全然わかんないんだけど。そういう部分で大きなお金が集まってくれば、レスラーも豊かになったりとかして、だんだん人材も増えてきたりとかして。で、グローバルで勝負もできたりして、それがきっと新しいプロレス界の未来かな、なんて」

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