担当記者が明かす武藤敬司の素顔 険しい道で光ったアイデアマンぶり 柔軟な姿勢と人徳ゆえか

 プロレス界のスーパースター・武藤敬司(60)が21日、新日本の内藤哲也(40)と引退試合に臨んだ。38年4カ月の現役生活に終止符を打ったレジェンド。デイリースポーツの歴代プロレス担当記者が、その素顔に迫った。

  ◇  ◇

 武藤さんが所属してきた団体を担当したことはないので印象は断片的だが、鮮やかだ。

 全日本の事務所が九段下にあった頃、膝が悪いため独特の歩き方になる武藤さんと行き合わせた。雑談しながら事務所まで向かう間、最寄りの駐車場が遠いことをしきりにぼやかれたものだ。

 武藤さん、小島聡、ケンドー・カシンらは2002年に新日本から全日本に移籍したが、地上波テレビ中継は既に無く、道は険しかった。その中で光ったのは武藤さん(およびスタッフ)のアイデアマンぶりだった。

 既存プロレスを脅かしていたK-1、PRIDE、フジテレビと組んだ新イベントWRESTLE-1の立ち上げ、神奈月ら芸人をリングに上げて試合させるF-1タッグ選手権の新設、ももいろクローバーZの起用、森喜朗元首相の観戦など、記事になる話題には事欠かなかった。退団で険悪になった新日本との関係修復も素早かった。いずれも米国仕込みの柔軟な姿勢と、人徳ゆえだろう。

 負傷で無念の引退となったが、本来ならハルク・ホーガンやリック・フレアーのようにレジェンドとしてリングに上がり続けたはず。今後もプロレスに主要登場人物として携わり続けてほしい。(2000~12年、プロレス担当・藤澤浩之)

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