世界王者インフル感染で4・16世界戦中止 関係者は“仮病”疑い怒り「偽物王者」 挑戦者・重岡優大は落胆「最悪」
ボクシング「3150FIGHT」でプロモーターを務める亀田興毅氏(36)が4日、都内のワタナベジムで会見を開き、4月16日にWBCミニマム級タイトル戦(東京・代々木第二体育館)を予定していた同級3位・重岡優大(25)=ワタナベ=の対戦相手で世界王者のパンヤ・プラダブスリ(32)=タイ=がインフルエンザに感染し来日できないため、世界戦を中止する方針を発表した。世界ランカーから代役を探し、暫定王座決定戦の実現を模索しているものの難航は必至。ノンタイトル戦となる可能性もあり、亀田氏は「ハードルは高い。(大物プロモーター)ドン・キングでもないと(難しい)」と頭を抱えた。
ただ、世界王者のドタキャンに、関係者からは“仮病”ではないかとの疑念が膨らんでいる。前日夕方、パンヤ陣営から診断書付きのメールが突然届いたが、それによれば2日に診断を受けて3日まで入院。退院後も10日間の静養が必要だという。ただ、タイは現在、一般的にインフルエンザが感染しにくいとされる30度を超える気候で湿度も高いことからインフルエンザ感染が疑わしいことや、メールにはパンヤが病床で点滴を受けたり、車いすに乗る画像が用意周到に添付されていたことから、疑念は増すばかりだ。対応に追われた亀田氏は「ほんま、パンヤのアホ」と恨み節を唱え、大会関係者も「怒りしかない」と吐き捨てた。
優大もこの日ワタナベジムに練習で訪れたが、第一声で「最悪でしょ?」と表情をゆがめた。24時間前にはこの場所で練習を公開し、世界戦への意気込みを語ったばかりだったが、夕食時に“悲報”が届き「落ち込んだし、ショックだった」。寝耳に水の事態に「(予防のために)手洗いはしないんですかね?」といぶかしがりつつ、「運が悪いが、運も実力のうちという考えに至りました。めちゃくちゃ汚い言葉を言いたいけど、気持ちを強く持つ。今も悔しいけど、ここで落ちてはダメ。集中力を切らさずやる」と怒りをグッと飲み込んだ。
弟の重岡銀次朗(23)=ワタナベ=は、同日に行われるIBF世界ミニマム級暫定王座決定戦に向けて練習を公開。兄を襲った悲劇には「ビビったし、マジで気の毒。(相手は)インフルエンザじゃないと思う」と疑念を隠さなかった。自身も1月の世界戦で同級王者ダニエル・バラダレス(メキシコ)がバッティングにより負傷して無効試合になり、その後も疑惑の左鼓膜負傷を理由に再戦もかなわなかっただけに「ミニマム級にはビビり王者、偽物王者が2人いる」とキッパリ。「それを倒して、強い者が勝つ世界にしたい。僕ら2人が(ボクシング界の秩序を)正せたらいい。それを世界に届けたい」と憤りを闘志に変えていた。