井上尚弥 フルトンと32秒にらみ合い 感情をむき出しに 「上等だよ」 4階級制覇へ自信 「120%仕上げてきた」
「ボクシング・WBC・WBO世界スーパーバンタム級タイトルマッチ」(25日、有明アリーナ)
前日計量が24日、横浜市内のホテルで行われ、前世界4団体統一王者・井上尚弥が55・2キロで一発パス。WBC・WBO王者のフルトンもリミットちょうどの55・3キロでパスした。両者によるフェースオフでは32秒間に及ぶにらみ合い。決戦を前に早くも激しい火花が散った。また、日本人史上最年長世界王者を目指す清水聡は57・0キロでパスした。
至近距離で目と目を合わせるや、怒気に満ちた表情でフルトンを激しくにらみつけた。約20秒が過ぎ、司会者が「それでは、正面を向いてください」とアナウンスするも聞く耳を持たず、お互い目をそらさない。JBC関係者に促され、ようやく正面を向いたが、フェースオフは実に32秒を計測。井上尚は珍しく感情をむき出しにした。
「いや~、燃えてきましたね。ちょっと腹立ったので。視線の送り方ってあるじゃないですか。ちょっと上から来てるみたいな感じで。上等だよと」
挑戦者として臨む世界戦。22日の会見ではいちべつ程度だったが、初めて目を合わせるなり、挑発してきたフルトンに負けてなるものかと、完全にモンスターの闘争心に火がついた。
一瞬、熱くなったが、スーパーバンタム級転向初戦へ、手応えは十分過ぎるほどある。計量では100グラムアンダーで一発パスすると、“尚弥スマイル”でガッツポーズ。大橋会長も手をたたいて喜んだ。井上尚は「いやもう、120%仕上げてきた。一つ階級を上げたからって、たるんだ体じゃない。スーパーバンタムの体を作ってきたので」と自信をみなぎらせた。
22日の会見ではフルトン陣営にバンデージの巻き方についてクレームを付けられるなど、心理戦が展開された。そしてこの日は闘志むき出しのバチバチのにらみ合い。「明日(25日)は技術戦になると思うので、そういう感情は抑えて頭を使って戦いたい」と井上尚。世界戦20連勝、日本人史上2人目の4階級制覇へ、リングの上ではいつも通り冷静に戦い、ベルトを奪取する。