元Jリーガー・山口聖矢 井上尚弥の勧めでボクシング転向「パンチが当たらないです」 遅咲きルーキー目指すは新人王
WBC・WBO世界スーパーバンタム級王者・井上尚弥(30)=大橋=の幼なじみで元Jリーガーの山口聖矢(29)=大橋=が30日にライト級4回戦でデビューする。山梨学院高時代はレギュラーとして全国高校サッカー選手権に出場。その後はJ3相模原と渡り歩いた男が、井上の勧めもありボクシング転向を決意した。別世界に飛び込んだ遅咲きルーキーが目標を語った。
Jリーガー時代、太もも周囲のサイズは65センチだった山口。今は少し細くなったが、ミット打ちではたくましい両足から力強い踏み込みでジャブを繰り出した。「新人王を取ることが目に見えての結果だと思う。何かしらの結果を残したい」。来年の全日本新人王を目標に練習に励む。
18年に相模原を退団後、サッカーの練習と実家である自動車整備会社勤務を並行していた。ところが、昨年1月に幼稚園年少からの幼なじみの井上とランニング中「ボクシングをやってみたら」と勧められ、井上の父・真吾トレーナーに入門のお願いをした。自宅が近所でサッカー選手時代もボクササイズをやり、食事やスーパー銭湯にちょくちょく行く間柄。ランニング中も鬼ごっこが始まるほどの仲良しには何でも打ち明けられる。「格闘技には興味があった」という山口の心境を知っていたように、井上も“勧誘”したようだ。
今月に入って井上とスパーリングを行い、超ハイレベルな動きに刺激を受けている。「パンチが当たらないです。そりゃそうなんですけど。サッカーもボクシングも共通しますけど、やっぱり強い人は強い」。Jリーガー時代、DFとしては小柄な174センチの身長ながら190センチの相手にも競り負けない跳躍力を武器としていたが、モンスターの動きを参考に練習に励んでいる。
SC相模原では元日本代表GK川口能活とチームメートになり、得るものが多かったという。「試合に対する準備とか、練習後のケアまで違います。準備は大事です」と大きな財産になった。井上からはジャブ、ワンツーを積極的に出し、腕のガードの位置のディフェンス面のアドバイスを受けた。幼なじみの金言を糧に、力強く白星デビューを飾る。
◆山口聖矢(やまぐち・せいや)1993年9月2日、神奈川県座間市出身。山梨学院高では高1時に全国高校サッカー選手権優勝、3年時はレギュラーとしてインターハイに出場。冬の選手権は2回戦敗退。関東学院大から16年に北信越リーグのサウルコス福井入団を経て、17年からJ3SC相模原で2年間プレー。22年11月にプロテストC級を受検して合格した。