【長谷川穂積の拳心論】井上尚弥とは逆の理想形を見せた寺地拳四朗 中間距離でも近距離でも打てる中谷潤人

9回、ヘッキー・ブドラーにTKO勝利した寺地拳四朗=有明アリーナ(撮影・吉澤敬太)
 5回、ヘッキー・ブドラー(左)に右ストレートを放つ寺地拳四朗(撮影・伊藤笙子)
 9回、アルヒ・コルテス(左)の顔面に右ストレートを放つ中谷潤人(撮影・伊藤笙子)
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 「ボクシング・WBA・WBC世界ライトフライ級タイトルマッチ、WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ」(18日、有明アリーナ)

 WBA・WBCライトフライ級統一王者の寺地拳四朗(31)=BMB=は元同級世界2団体王者のヘッキー・ブドラー(35)=南アフリカ=に9回2分19秒TKO勝ちし、WBAで2度目、WBCでは3度目の防衛。WBOスーパーフライ級王者の中谷潤人(25)=M・T=はアルヒ・コルテス(28)=メキシコ=に3-0で判定勝ちし、初防衛に成功。3階級制覇の元世界王者・長谷川穂積氏が解説した。

  ◇  ◇

 寺地選手は、やりにくい相手に8回からより重心を低くして攻撃的になり、9回にしっかり倒した。世界戦13勝を重ねた自信とともに、ジャブをあれだけ出せるのは、豊富な練習量があるはずだ。

 後半のKOは、前半のボディーへの攻撃などが蓄積していたこともある。強打の井上尚弥選手とは反対に、一発で倒すタイプではない選手にとっては、理想の形と言える。

 また、8、9回でゴーサインを出したセコンドの指示どおりに戦えたことにはチームの信頼関係を感じた。一人で戦うボクサーにとってはとても大切なことだ。今後は減量の兼ね合いがあるが、4団体統一から上の階級へと期待したい。

 中谷選手はサウスポーで身長もあり、リーチが長い。中間距離でも近距離でもパンチが打てるテクニックがあり、独特のリズムを持っている。ワンツーでタイミングをずらしたり、左ボディーをいい角度で打てたり、また、下を見て上を打つなど多彩な攻撃ができる。自分の戦い方がわかっている選手だ。

 まだ成長過程で、穴はある。この試合でも、ふとした瞬間にパンチをもらう場面があった。これからはその穴を埋めていく作業になる。天性のボクシングセンスは間違いない。今後が楽しみだ。

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