男子ボクサーとして復帰の真道ゴーは判定で完敗 壮絶打ち合い、ダウン奪われる「リングに立たせてもらい感謝」
「ボクシング・準公式試合・3回戦」(10日、エディオンアリーナ大阪第2競技場)
元WBC女子世界フライ級王者で性別適合手術と戸籍変更を経て男性ボクサーとして準公式戦(バンタム級3回戦)に臨んだ真道ゴー(36)が7年半ぶりリング復帰を勝利で飾れなかった。石橋克之(35)=姫路木下=を相手に、ダウンを奪われるなど、判定0-3(27-29×3)で完敗した。
1回、的確にジャブをヒットさせ主導権を握る。スピードで上回り、パワー負けも感じさせなかった。2回は相手もスイッチが入る。接近戦で激しく打ち合った。最終3回、真道は被弾し、ダウン。拍手の中、立ち上がると、最後の力を振り絞る。パンチをもらいながらも、がむしゃらに強打で応戦。最後まで前に出続けた。
すべてを出し尽くした表情で敗戦の判定を聞いた。リング上では「リングに立てて楽しかった。ついつい燃えちゃうタイプなので打ち合ってしまった。本当に私との試合を組んでもメリットのない中、石橋選手は受けてくれて感謝します。たくさんの方のおかげ。リングに立たせてくれて感謝します」と頭を下げた。
2年分の思いをぶつけた。男子としてリングに立つことを望んだ真道は昨年4月にプロテスト受検を申請し、ジム側はJBCと協議を重ねた。JBCは医学やジェンダーの専門家らで構成する諮問委員会で審議。最終的に安全面の不安が拭えず、7月に男子プロテスト受検を認めない結論を下した。
一方で男子選手との試合形式のスパーリングを行った上で安全面などを精査。内容によっては受検を認める道筋も提示し、可能性は残した。
真道は去就に関し、2カ月熟考。競技を辞める選択肢はなく、1度は海外挑戦を視野に入れた。9月に本石昌也会長と話し合い、現役男子プロボクサーとの準公式戦を提案され、受け入れた。
準公式戦はJBC(日本ボクシングコミッション)のレフェリーが裁き、採点も公式戦同様。試合グローブは8オンス。戦績としてはカウントされない。石橋の戦績は2勝2敗1分け。真道は2016年6月を最後に女子プロボクサーとして引退、戦績は16勝(11KO)4敗だった。
同戦にはJBCの萩原実理事長、安河内剛本部事務局長も視察。男子プロボクサーしての可否を判断する査定マッチに敗れはしたが、ジェンダーボクサーとして大きな一歩になった。