“男子ボクサー”真道ゴーをJBCも高評価「半歩前進」「思った以上のパフォーマンス」「本当に歴史、歴史をどう紡ぐか」
「ボクシング・準公式試合・3回戦」(10日、エディオンアリーナ大阪第2競技場)
元WBC女子世界フライ級王者で性別適合手術と戸籍変更を経て男性ボクサーとして復帰の真道ゴー(36)が現役男子プロの石橋克之(35)=姫路木下=と準公式戦(バンタム級3回戦)に臨み、ダウンを奪われるなど、判定0-3で完敗した。
同戦はJBC(日本ボクシングコミッション)のレフェリーが裁き、採点も公式戦同様に行われた。使用グローブは8オンス。今後、男子プロボクサーとしての可否を判断する査定マッチでもあり、JBCの萩原実理事長、安河内剛本部事務局長が視察した。
萩原理事長は「素晴らしい試合だった。スピードがあり1、2ラウンドは遜色がない感じだった。半歩前進したという感じ。安全性に最大配慮し、あとは慎重に進めていきたい。互角とかは言えないけどスピード感は勝った」と、率直な印象を述べた。
ただ、即、男子プロとして合格の結論は出せない。「まだこの先を見ないといけない。(準公式が)何試合になるか分からないけど、世界的な状況、安全性の確認は最大限にしていく。そこを慎重に考慮、配慮しながらになる」と語った。
安河内事務局長は「かなり公式戦に近いもの。8オンスでヘッドギア無しになるとほぼ試合。緊張感の中でどこまで戦えるのかがあった中、ダウンシーンあったものの、試合後は無事に元気に受け応えしてくれていて安どした。相当な覚悟で臨んでくれた。思った以上にいいパフォーマンスをしてくれた。もう少しスピード、パワーが劣るのかと思っていた。耐久性は個々では分からないけどダウンしたからプロ失格とはいえない。2ラウンド終わったあとにドクターチェックした。全く問題なく3ラウンドを続行した」と、心配は払しょくされた。
今後も慎重に判断するものの、36歳の年齢を十分に考慮する。「いろんな方に聞いて、ビデオでも精査しながらやっていく。まず事務局レベルで意見を集約して、まず真道さん側がどうしたいのか。相当な覚悟で臨まれている。これであと何回も準公式をやってくださいというのは失礼なのかなと」と、見通しを示した。
女性として生まれながら、男性として性自認。真道のような身体的には不利な挑戦は世界的にも異例のこと。「あえて男のフィールドでやるのはない。自分は男性と認識していても、フィールドは女性というのが多分、一般的だと思う。歴史じゃないですか。本当に歴史。この歴史をどう考えていくか、どう紡いでいくかが今後のわれわれの課題」と、JBCとしても、大きな一歩となった。