KO陥落のタパレス 傷だらけの顔で今後の井上の相手に助言「幸運を」 井上尚弥の速さに脱帽 英雄パッキャオから労い「相手はPFPだから」
「ボクシング・世界スーパーバンタム級4団体王座統一戦」(26日、有明アリーナ)
WBC・WBO王者の井上尚弥(30)=大橋=が、WBA・IBF王者のマーロン・タパレス(31)=フィリピン=を10回1分2秒KO勝ちで下し、テレンス・クロフォード(米国)に次ぐ史上2人目、史上最速5年7カ月で2階級での4団体統一を成し遂げた。タパレスはこれで41戦37勝4敗となった。
試合後、傷だらけの顔で会見に臨んだタパレスは「まず神様に感謝したい。幸運の女神はほほ笑まなかったが感謝している。改めてボクシングがうまいなと、あとスピードに驚きました。スピードが速く、追いつけなかった。パンチも凄く強かった」と、敗因を語った。右ストレートをこめかみに被弾したKOシーンについては「井上選手のパンチが綺麗に決まったので、それが原因だった」と振り返り、「できることはすべてやり尽くした。残念ながら起こるべき事が起きてしまった」と語った。今後、井上と対戦する選手への助言を求められると、「グッドラック(幸運を祈る)」と語った。
試合後、フィリピンの英雄で、元世界6階級制覇王者のマニー・パッキャオからメッセージが届いたそうで「フィリピンの誇りを見せてくれた。負けたのはパウンドフォーパウンドだからね」と、ねぎらわれたという。
タパレスは戦前の予想では前に出てくるとされていたが、序盤は引き気味で井上の攻撃をしのぐと、3ラウンド目からの攻撃的な展開にも対応し、好勝負を繰り広げた。第4ラウンドに左ボディー攻めに苦しみ、左フックでぐらつくと、そこからの猛打でダウンを奪われた。ゴングに救われたが、第5ラウンドも井上の猛打に応戦。その後は後ろに重心をかけながら、耐えていたタパレスだったが、10ラウンドに強烈な右ストレートをこめかみに被弾し、2度目のダウン。呆然とした表情で四つんばいとなり、さまよいながら、なんとか立ち上がろうとしたが、立ち上がれず、決着となった。それでも井上が勝利者インタビューで「非常にタフで強い選手でした。戦前予想していた通りの選手。ポーカーフェイスで効いてる様子がなく耐えていたので、崩れ落ちた時はビックリした。蓄積させていたので、相当ダメ-ジあったのかなと」と、振り返ったように、タフさが光る好ボクサーだった。
4月に戦前の予想を覆し、無敗の統一王者、アフマダリエフ(ウズベキスタン)を撃破し、勝てばフィリピン人初となる4団体統一のビッグチャンスを掴んだ。これまで何度も下馬評を覆す勝利を収めてきたことからついた異名は“ナイトメア(悪夢)”だった。キャリア4つ目の黒星で、自身がうなされることになった。