キラー・カーンさん急死 日米リングで活躍、アンドレの足を折った男 76歳、動脈破裂で
キラー・カーンのリングネームで一世を風靡(ふうび)した元プロレスラーの小沢正志(おざわ・まさし)さんが29日午後、動脈破裂で死去していたことが30日、分かった。76歳だった。小沢さんは東京・西新宿で経営する居酒屋「カンちゃんの人情酒場」で営業中に倒れたという。
“キエーッ”という奇声とともに繰り出される豪快なモンゴリアンチョップ、大巨人アンドレ・ザ・ジャイアントを骨折させたと言われるフライングニードロップで暴れ回り、キラー・カーンのリングネームで人気を博した小沢さんが突然、旅立った。関係者によると経営する「カンちゃんの人情酒場」営業中に意識を失い、すぐに病院に緊急搬送されたが、そのまま息を引き取ったという。
新潟県出身の小沢さんは大相撲・春日野部屋から日本プロレス入門。ベテラン吉村道明の付き人を務めた。73年4月に坂口征二らとともに新日本プロレスに移籍。藤波辰巳(現・辰爾)、藤原嘉明らとの出世争いで成長したことが、大きな転機となった。その後、メキシコでの海外武者修行中にテムジン・モンゴルなるリングネームでトップレスラーに飛躍。79年にはアメリカに進出してキラー・カーンを名乗り、モンゴリアンとして各地で売れっ子となった。
一躍、世界中にその名を広めたのが、81年5月のアンドレとの試合。実際にはニードロップで負傷させたわけではなかったが、この試合でアンドレが足を骨折したことから“大巨人の足を折った男”として知名度は一気に上昇した。
帰国後は新日本のトップとして活躍。さらに長州力の維新軍団に加入し、ジャパンプロレスの一員として全日本にも参戦した。長州力との抗争では、その裏切り行為から「恩知らずのキラー・カーン」というフレーズが流行。しかし、ジャパンプロレスの分裂を機に87年に現役を引退した。
引退後はスナックや居酒屋を経営するかたわら、2005年には歌手としてもCDデビュー。22年にはS状結腸がんを患っていることを公表していた。