武尊が王座戴冠ならず号泣引退示唆「これ以上、僕は体を作れません」 最強王者スーパーレックと死闘も惜敗 ローキック地獄に左脚は紫色に… 魂のラッシュも届かず

 「ONE」(28日、有明アリーナ)

 メーンイベントのフライ級王座戦で、元K-1世界王者の武尊が王者のスーパーレック・キアトモー(タイ)に挑み、判定0-3で敗れた。

 試合は1回から王者スーパーレックが強烈なローキックを武尊を浴びせて、主導権を握ったが、武尊もローキックで応戦。攻防が続いた。2回も王者のローが次々の武尊の左太ももに。見る見る腫れていったが、武尊もパンチのコンビネーションで反撃。終盤には王者を追い込み、ふらつかせる場面もあった。3回も王者のローキック攻めは止まらず、武尊は足引きずる場面も。しかし、前に出て攻め続けると、右ハイキックをガードし、一気の攻勢に。パンチのラッシュでダウン寸前まで追い詰めた。

 4回も前に出続ける武尊。相手のヒザを浴びながらも笑いながら前に出る根性をみせた。スーパーレックも的確に反撃し、武尊は鼻から出血した。5回は王者が前に出て、武尊を追い詰める。足が止まる中で、武尊は右拳で反撃。最後まで互いに手数が止まらないまま、死闘の終わりを告げるゴングがなった。

 試合後のインタビューでは「絶対勝って、世界一を証明して、ファンの人たちにパワー与えたかったっすけど…。そのために今できる、今の体でできる限界ギリギリのところまでやりました。絶対勝って、武尊についてきてよかったって思ってもらいたくて、死ぬ気で頑張ってきたんですけど。今ほんと、地震とか辛いことあってたくさんあって、苦しい思いしている人がいる。命がけで戦って、頑張ればいいことがあるってみせたかったんですけど。これ以上、僕は体を作れません…」と、号泣した。会場を出る際にも車いす姿でインタビューを受けた武尊だったが、涙は止まらなかった。

 武尊は22年6月に那須川天心との「THE MATCH」に判定で敗戦。その後、休養に入ったが、23年9月に復帰し、フランス・パリでベイリー・ザグデンを下し、ISKA世界王座を奪取した。今大会では当初は対戦を熱望していたムエタイ王者のロッタン・ジットムアンノン(タイ)とのカードが組まれていたが、ロッタンの負傷により消滅。急きょ王座戦が決まった。

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