１２月２６日に有明アリーナでボクシングの日本バンタム級王座戦後に右硬膜下血腫の緊急開頭手術を受け、２月２日に亡くなった穴口一輝選手（真正）について、ＳＮＳでは追悼の投稿が相次いでいる。

　穴口選手は、世界スーパーバンタム級４団体を制覇した井上尚弥（大橋）のセミファイナルで行われた「バンタム級モンスタートーナメント・決勝」の日本王座戦に出場。日本同級王者・堤聖也（角海老宝石）と激闘を繰り広げ、判定で敗れた。手術後も意識が戻らず、２日午後５時３８分に息を引き取った。２３歳だった。

　この試合は、亡くなった３日に発表された、ＪＢＣの年間表彰で年間最高試合（世界戦以外）に選出された。穴口選手は序盤から優勢に試合を進め、４度のダウンを喫しながらも攻撃の手を緩めず、双方が一歩も譲らない好試合を繰り広げた。

　元ＷＢＯ世界スーパーフェザー級王者でプロモーターの伊藤雅雪氏は、Ｘ（旧ツイッター）に「ご冥福をお祈り致します。いつまでも語り継がれる名勝負だった。本当に感動した試合だった。穴口選手、ゆっくり休んでください」と投稿。元日本ライト級王者の細川バレンタイン氏も、Ｘに「言葉を失うね　穴口選手のご冥福をお祈りいたりします　魅せてもらった彼の勇姿は、心に刻みたいと思うよ　俺も穴口選手くらい本気で生きるよ」とつづった。

　また、アマチュア時代に切磋琢磨（せっさたくま）した、２３年杭州アジア大会などの日本代表、荒本一成は、少年時代の２人の写真を投稿。「一輝、よう頑張った。ガキの頃から一緒にやってきて最高のボクシング人生やったな。当たり前やけど穴口一輝を一生忘れない。一輝、ゆっくり休んでくれ。悲しいし悔しいけど、落ち込んでる暇あったら俺の分まで頑張れってケツ叩いてきそうやな。明日から一輝の分まで頑張らなな！」と心情をつづった。

　穴口選手は、神戸市内のフィットネスジムでトレーナーも務めていた。ジムが所在する商店街の公式Ｘでも、指導する穴口選手の写真とともに「教え方の上手いトレーナーであり、気さくで優しい人という印象が強く残っています。普段の穴口選手も本当に素敵な人でした。心よりご冥福をお祈りいたします」と追悼した。

　アマチュアの強豪、芦屋学園中高出身の穴口選手は、高校で２冠を達成。芦屋大時代に東京五輪を目指したが、国内予選で敗れて一時リングから離れ、その後プロへ転身した。２１年７月にデビュー。この試合まで６連勝（２ＫＯ）無敗と破竹の勢いで勝ち進み、将来性が期待されていた。