坂間叶夢さん悼み涙 井上岳志がWBO-AP&東洋太平洋防衛し「素晴らしいボクサーがいたってことを忘れないでいてほしい」
「ボクシング・WBOアジアパシフィック&東洋太平洋スーパーウエルター級タイトルマッチ」(18日、後楽園ホール)
王者・井上岳志(34)=ワールドスポーツ=がメインイベントで、WBOアジアパシフィック8位、東洋太平洋1位のウェイド・ライアン(34)=オーストラリア=の挑戦を受けてWBOは3度目、東洋太平洋は初の防衛戦に臨んだ。試合は双方とも決め手に欠き、判定は井上が1者を支持したもののドロー。井上が防衛に成功した。
防衛成功について問われた井上は、それまで気丈に質問に答えていたが「それよりも、坂間叶夢が、あんなに素晴らしいボクサーがいたってことを忘れないでいてほしい」と涙ながらに訴えた。
試合前日の17日、同門で世界ランカーの坂間叶夢さんの訃報が届いた。わずか20歳で突然の死を迎えた後輩を「彼は世界を取る器でしたし、既にそういう実力があった」と惜しみ、「心の支えになってあげられなかった」と悔やんだ。
この日は「彼に恥ずかしくないボクシングをしようと思って」リングに上がったという井上。減量がきつそうだった坂間さんに「飯連れてってくださいよ」と言われて約束したが果たせなかったことを振り返り、「天国にいると思うんで、僕もいい行いをして天国に行って、約束を果たせればいいなと。彼の分まで悔いの無いように生きようと思いました」と思いを述べた。
セミファイナルでは富岡浩介(21)=RE:BOOT=と野上翔(23)=RK蒲田=が日本ユースフライ級王座決定戦を行った。
接近戦の長いもつれた展開で、6回には富岡がダウンを奪ったが、7回には野上が逆襲してダウン寸前まで富岡を追い込み、判定2-1で野上が新王者となった。
野上は「めちゃくちゃ強かったです。心が折れそうになった。自分のボクシングをさせてもらえなかった。全然パンチが当たらなくて、取りあえず当てることだけ必死でした」と反省しきり。「取りあえず疲れました」と本音をこぼしていた。