井上尚弥 フェザー転向求める声に「やりたいんだったらおまえら下げて来いって話ですよ」
ボクシングの4団体統一世界スーパーバンタム級王者・井上尚弥(31)=大橋=が29日、横浜市内の大橋ジムで本格的に練習を再開し、記者会見を行った。
井上は6日の東京ドーム興行で、ルイス・ネリ(29)=メキシコ=に6回TKO勝ち。「外を歩けない」と、日本ボクシング史上最大のビッグマッチの反響を実感していることを明かした。
ネリ戦後は「何も考えずに」過ごしていたといい、「体力的肉体的には全然問題はないですけど、自分が感じていないところでのストレスがあると思うので、そこをいったんフラットにしてから、今日から練習再開と決めました」と説明。この日はシャドーボクシング、サンドバッグ打ち、ミット打ちを2ラウンドずつ公開した。テーマは「基礎から土台を作っていくというところ」になるといい、「普段と変わらずですね。年齢に対するものを今の時点で感じているわけでもないし、気にせずいつも通り再開していきたい」と話した。
次戦に関しては、ネリ戦後にリングインして井上と友好的にやりとりし、9月に首都圏で予定される次戦の相手に浮上していたIBF・WBO1位のサム・グッドマン(25)=オーストラリア=が、7月10日にWBC8位のチャイノイ・ウォラウット(26)=タイ=と対戦することがこの日、発表され、9月の対戦が微妙になっている。
会見に同席した大橋秀行会長は「対戦相手はちょっと、今の状況はまだ未定です」としつつ、グッドマンについては「まだちょっと交渉の余地は残していますけど、まだどうなるかは分からない」と説明した。現在はネリの代役含みでドームに出場した元IBF王者のTJ・ドヘニー(37)=アイルランド=の名も候補に浮上している。
井上は対戦相手が流動的になっている現状を「ボクシングあるある」と笑い飛ばし、グッドマン戦について「それは自分がちょっと先走っちゃったんですよ。試合前に聞いていた話と誤解がありまして、自分はもう交渉して9月って勘違いして、先走ってリングに上げちゃったんですよ。そしたらどうやら全然違ったという」と、苦笑いで早合点を告白した。
それでも「(相手の構えが)右か左かだけだいたいなんとなく分かっていればスパーリングもやりやすいですし。本格的に相手をイメージして詰めていくのは1カ月半とか1カ月くらいなんで、まだ全然焦りはない。僕は誰とでもいい。ドヘニーも一つの対戦候補として上がってきてる選手なので、頭の隅にはいます。今はフラットな状態で練習を再開しようと思っています。(モチベーションの変化は)ないですね。誰が相手でも強さを見せるという意味では変わりないのかなと」と、泰然自若としていた。
一方ではIBF世界フェザー級王者ルイス・アルベルト・ロペス(30)=メキシコ=が13日Xで、井上と自身が並んで「ドリームファイト」「フェザー級チャンピオンシップ」とロゴを入れた対戦要求ともとれる画像をアップするなど、海外からフェザー級転向を求める声が増えている。
井上は語気を強めて「それに関しては、言いたいことはいろいろありますよ。スーパーバンタムに敵がいないから階級を上げろっていうのもおかしな話ですし、やりたいんだったらおまえら下げて来いって話ですよ。階級制のスポーツですから。そんなにやりたいんだったら下げて来いって話ですよ」と一喝。
将来的なフェザー級転向自体については「フェザーに行く準備はしてますけど、そこはまだ何とも言えないかなと」と話していた。