田中恒成の世界戦中止 挑戦者が2・9キロ体重超過 畑中氏「ボクシングをやめた方がいいんじゃ?」
「ボクシング・WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ」(20日、両国国技館)
前日計量が19日、都内 で行われ、WBO世界スーパーフライ級王者・田中恒成(29)=畑中=の初防衛戦は、挑戦者のジョナタン・ロドリゲス(28)=メキシコ=がリミットを2・9キロ超過し、中止になった。田中はパスした。日本ボクシングコミッション(JBC)の安河内剛事務局長によれば、日本開催の世界タイトルマッチが体重超過で中止になるのは初めてだという。その他の4試合に出場する8選手は全員パスした。
田中は52・1キロでクリアしたが、ジョナタンは全裸になっても55・0キロと約3キロ超過した。再計量を目指したが、猶予の2時間を待たずして、田中が所属する畑中ジムの畑中清詞会長は「結論はキャンセルです」と、試合中止を明かした。
ジョナタンのプロモーターであるパコ・ダミアン氏によれば、17日にジムと宿舎で胃と足のけいれんと呼吸困難を起こした。この日も再計量を目指して減量に取り組んだが、またもや足にけいれんを起こしたため、試合中止を申し出たという。
田中は計量失敗を目の当たりにした直後「勝つだけです。思いっ切りやりますね。明日は暴れたい。戦う気満々なんで戦います」と明言。田中陣営は「二つも上の階級とやらせるわけにはいかない。そういった例を作るのは悪いこと」(畑中氏)と試合中止を決めたが、畑中会長によれば、中止を伝えられた田中は再計量リミットの午後3時まで「戦闘態勢でいます」と試合をあきらめていなかったという。
ダミアン氏は「田中選手に影響を与えてしまったことを申し訳なく思っている」と陳謝。ジョナタンも「田中選手に申し訳なかった」と謝っていたというが、計量失敗で世界戦を中止に追い込んだのも事実。畑中氏は「われわれには考えられません。ボクシングをやめた方がいいんじゃないですか?もしくは階級を間違えていませんか?」と静かに、だが厳しく問いかけた。
◆近年の国内の世界戦での体重超過 2018年3月1日のWBC世界バンタム級タイトルマッチでは、王者ルイス・ネリ(メキシコ)が55・8キロと2・3キロ超過。最終的に54・8キロとなり、1・3キロ超過で王座を剥奪された。挑戦者の山中慎介が勝てば王者、負けか引き分けなら王座は空位という条件で試合は行われ、ネリがTKO勝ちした。同年4月15日のWBC世界フライ級タイトルマッチでは王者の比嘉大吾が900グラム超過。再計量はせず王座剥奪となった。比嘉が勝つか引き分けなら王座は空位、挑戦者クリストファー・ロサレス(ニカラグア)が勝てば王者という条件で試合は行われ、ロサレスがTKO勝ちした。