刑務所暮らし11年から再起して世界1位をKOした健文トーレス「感謝の気持ちが伝わるボクシングをします」
「ボクシング・10回戦」(24日、大和アリーナ)
WBO世界スーパーフライ級1位のKJ・カタラジャ(フィリピン)と対戦するWBO世界バンタム級10位の健文トーレス(TMK)が20日、大阪府内のジムで公開練習を行った。
健文は今年5月、「イチかバチかの勝負」で臨んだWBO世界バンタム級1位のレマート・ガバリョ戦で、1回TKO勝ちする大番狂わせを起こしており、ここで勝てばバンタム、スーパーフライ両階級での世界挑戦が見えてくる。幼少期から一緒に練習したり遊んだりと亀田3兄弟とは親しく、「改めてお願いして」今回からTMK所属となっている。
日本での試合は約7年ぶり。父に元WBC世界ライトフライ級王者ヘルマン・トーレスを持ち、「絶対世界王者になる」と将来を嘱望されながら、過去にタクシー強盗などで2度収監され、計11年の刑務所暮らしを送った。「自分が罪を償えるとは思っていない。被害に遭わせた人もいます。仮に自分が世界王者になったとしても、自分が更生したとは言えない。けれども、自分が間違っていたことを理解し、ボクシングが好きだったと改めて感じた。その思いだけでも今回の試合で示したい」と言う。
現在は介護の仕事をしており、「介護の仕事を通じて感謝されることのありがたみとうれしさに気付けた。人のありがたみを理解できた」と打ち明ける。
カタラジャについては「強い選手なのは間違いない。でも負けるとは全く思っていない。TMKに所属してから体のケアから学び直して、今まで一番充実した練習ができている。今の俺が気持ちと技術で負けることはない」ときっぱり。
「お兄ちゃんをはじめ家族にはいろいろ迷惑をかけたけど、今でも応援してくれるし相談に乗ってくれる。応援してくれる皆のためにもリングで感謝の気持ちが伝わるボクシングをします」と、支えてくれる周囲に応えることを誓った。