【長谷川穂積の拳心論】尚弥選手を怖がり何もできなかったドヘニー「ビビってしまって」

 「ボクシング・4団体統一世界スーパーバンタム級タイトルマッチ」(3日、有明アリーナ)

 世界スーパーバンタム級4団体タイトルマッチで、統一王者の井上尚弥(31)=大橋=が、元世界王者で挑戦者のTJ・ドヘニー(37)=アイルランド=に7回16秒、TKO勝ちし、4団体の王座を防衛。3階級制覇の元世界王者・長谷川穂積氏(43)が試合を解説した。

  ◇  ◇

 井上尚弥選手の試合は意外な終わり方となってしまった。ただ、負傷したアクシデントを含めて、これも実力のうち。ドヘニーはもっと手数を出してくると思ったが、尚弥選手を怖がりビビってしまって何もできなかった。一発狙いの左フックを十分に警戒して、相手との距離感やパンチ力をしっかりと把握していた。

 尚弥選手ほどのレベルになると、常に倒して勝つことを求められる。もうプレッシャーでしかないし、最大の敵は前回の自分という状況になっている。それでも、スーパーバンタム級に上げてからの体つきとかも、まだ進化の余地がうかがえると思う。次回はスカッとしたノックアウト勝ちを期待したい。

 武居選手と比嘉選手はスリリングな展開のいい試合だった。比嘉選手のダメージが蓄積して最終ラウンドは防戦に回ってしまった。これがチャンピオンとチャレンジャーの差。それでも、比嘉選手は持っている力を出し切ったと思う。

 武居選手はトリッキーさ、知力を発揮して“武居ワールド”を存分に発揮した。さらに意外と打たれ強さもある。比嘉選手もラッシュをかけていたが、この頑丈さは大きな武器になる。まだプロボクシングのキャリアは10戦。チャンピオンでありながら、まだまだ伸びしろが十分にある。リング上のインタビューで那須川天心選手の名を挙げていたが、対戦が実現すれば本当に面白いカードになるだろう。

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