井上尚弥 グッドマン、アフマダリエフとは「どっちともやる」中谷潤人戦は弟・拓真の「壁がデカいんじゃないか」
3日に東京・有明アリーナで、TJ・ドヘニー(アイルランド)を7回TKOに退けてボクシングの4団体統一世界スーパーバンタム級王座を防衛した井上尚弥(大橋)が、一夜明けた4日、横浜市内の大橋ジムで記者会見を行った。
ドヘニーが腰痛を訴えて棄権という消化不良の結末にも、プレッシャーをかけ続けて主導権を握っていた尚弥は「陣営の作戦通り。慎重に、冷静にと、ボクシングをすごく徹底してできた。映像で見返したら、やっている感覚よりもっといいなという感覚になりましたね。ドームでの1ラウンド目のああいうミス(ダウン)からの改善という点で今回そういうテーマを作ったんですけど、しっかりとどのラウンドでもできた」と、手応えを明かした。ダメージも全くないという。
今後については、直近では10月13日に両国国技館で、弟のWBA世界バンタム級王者・井上拓真(大橋)が3位の堤聖也(角海老宝石)を挑戦者に迎えて防衛戦を行うため、「僕が仮想・堤でスパーリング相手になりますよ。堤とは何度もスパーリングをやっていて、手の内は全部知ってるんで」と語った。
今後の防衛戦については、尚弥と契約する米トップランク社のボブ・アラムCEOが、次回は12月に東京で開催され、来年は米ラスベガスで行うと既に述べているが、米ボクシング専門ニュースサイト「ボクシング・シーン」がこの日、アラム氏の話として、東京開催は12月24日とし、ラスベガスは来年4月、さらに来年後半には東京ドームでWBC世界バンタム級王者・中谷潤人(M・T)戦を組みたいとの希望を報じた。
12月に戦えば2017年以来の年3試合となるが、尚弥は「ボクシング好きなので、このスパンで試合するということは自分の中ですごく楽しみでもあるしうれしいことでもあるので、自分の方からぜひやらせてくださいということを会長に伝えた」と明かし、「年3回できるうれしさをしっかり試合で表したい。3試合できるというのは試合を通して成長できることが多いと思うので、そこもプラスだと思いますね」と大歓迎した。
次期挑戦者はIBF・WBO1位のサム・グッドマン(オーストラリア)とWBA1位のムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)が有力だが、尚弥は「どのみちどっちともやるんで、心配しないでくださいよ!」と強調。「次アフマダリエフになろうがグッドマンになろうが、いずれやるんで」と、両方と戦う姿勢を見せた。
中谷については「彼がそういうステージに上がってくれば、対戦候補の一人には挙がってくるんじゃないですか」と前置きしつつ、中谷が拓真との統一戦を希望し、拓真も同様であることに触れて「そこ(拓真)の壁がデカいんじゃないですかね、たぶん。皆さん(の格付けでは)バンタム級は中谷潤人が1位ですけど、井上拓真はけっこうくせ者ですよ。向こう(中谷)もそういうこと(統一戦)を発言してますしね。まずバンタム級で取ってからになってるし、拓真もそういう発言をしてるんで、それは面白い戦いになると思うし」と、拓真が大きな関門になるとの味方を示した。
また、大橋秀行会長がこの日、那須川天心(帝拳)戦の実現に興味を示していたことを聞かされると、尚弥は「えーっ…」と絶句。「そっちの方が(中谷戦よりも)まだない話なんじゃないですか。まだチャンピオンになってないじゃないですか。階級も違うし、まずそこの土俵にも上がってきてないので。そこの土俵に上がってきたら聞いてください」と苦笑い。大橋氏の発言は、プロモーターとしてのものだと解釈していた。