「ボクシング・ＷＢＡ世界バンタム級タイトルマッチ」（１３日、有明アリーナ）

　王者・井上拓真（２８）＝大橋＝に挑戦する堤聖也（２８）＝角海老宝石＝が４日、都内で公開練習を行った。高校２年時にインターハイ準決勝で拓真に敗れてリベンジを公言してきたが、今はリベンジよりも強いチャンピオンである拓真と戦うことが楽しみだと明かし、「勝てれば何でもいい」と戴冠を宣言。４団体統一世界スーパーバンタム級王者の井上尚弥が拓真のスパーリングで仮想・堤を務めていることに対しては、「俺、そんなにうまくないよ」と笑い飛ばした。

　リベンジだけが全てではない。堤は「澄んだ気持ちで純粋に今の井上拓真選手と戦うことを楽しみにしています」と語った。

　原動力は学生時代からの「一番にはなっていないっていう劣等感」だ。大学時代はアマでやめるつもりだったが、拓真らの活躍が進路を変えさせた。「居酒屋でテレビ見ながら、俺コイツとやってんだよ、みたいな大人になりたくなかった。どこまで行けるかちゃんとやりたかった」という。

　拓真については「スピードとディフェンス力、ボクシングそのもののスキルがすごく高い。冷静だし、瞬間瞬間の選択が優れている」と強さを認めている。練習では「チャンスが来る場面を逃さない嗅覚の高め方だったり、いかに自分のリズム、土俵に持っていくか」を意識したといい、「ボクシングって瞬間瞬間で展開が動く。その瞬間瞬間で、どの部分でも上回ったら展開がズレる。ズレたところを突いていくと崩れていく」と、勝利の方程式を説明した。

　尚弥の仮想・堤報道にには「その手があったか！」と驚いたが、「尚弥さんレベルやばいし、そんなに俺、うまくないよと。拓真もいざやってアレ？リズム違う、思ったよりヘタクソだってなってくれたら、ズレを生ますことができるんじゃないかな」と笑い飛ばした。

　「ここまでたどりついたんで、ちゃんと達成したい」と臨む大舞台。堤は「世界チャンピオンになります」と言い切った。

　◆堤　聖也（つつみ・せいや）１９９５年１２月１４日生まれ、熊本市出身。平成国際大卒。アマ戦績は８４勝（４０ＲＳＣ）１７敗。全国高校選抜優勝、関東リーグ戦２部４年連続全勝、国体準優勝などの実績を残す。２０１８年、Ｂ級でプロデビュー。２２年、日本バンタム級王者。２３年、モンスタートーナメント優勝。２４年、日本王座返上。プロ戦績１１勝（８ＫＯ）２分け。目標は元ＷＢＡ世界スーパーフェザー級王者・内山高志。スタイルはスイッチ。１６６センチ。