アマ4冠の村田昴がプロ初ベルト獲得 倒し倒されの激闘制し「皆さんには楽しんでもらったと思う」と照れ笑い
「ボクシング・WBOアジア・パシフィック・スーパーバンタム級王座決定戦」(5日、後楽園ホール)
アマ4冠で1位の村田昴(帝拳)が2位の山﨑海斗(六島)との王座決定戦に9回2分46秒、TKO勝ちして、プロ8戦目で初のベルトを巻いた。
村田が7勝(7KO)、山﨑が9勝(5KO)の無敗対決。村田は日本人対決も12回戦もメインイベントもタイトルマッチも初めてとなった。
ハイレベルなテクニックの勝負は、村田が3回、山﨑の左に合わせた右のカウンターで最初のダウンを奪取。5回にも左ストレートで山﨑をよろめかせる。
「効いているのが分かった」という村田は7回にラッシュするが、「雑に攻めすぎた」ところに右のカウンターを直撃され、もんどりうってプロ初のダウンを喫する。
クリンチと脚を使い落ち着いてしのいだ村田は、8回も左ストレートを続けて打ち込んでダメージを与えていき、9回にフラフラの山﨑から左ストレートでダウンを奪取。山﨑も立ち上がったが、レフェリーが試合を止めた。
スリリングな激闘を提供した村田は「理想のボクシングではないが、皆さんには楽しんでもらったと思う」と照れ笑い。「6ラウンドに効いてるそぶりが見えたのでゴーかけたらまだ早かった。ディフェンスが甘い分、たたみ込みはもっとゆっくりしないとダメ。初めてプロでダウンして、したくはないけどいい経験かな」と反省した。
プロ初のベルトには「形あるもの、初めてのベルトだし、本当にとてもうれしい。今日勝てて、皆さん(報道陣)にベルトを持って囲み取材を受けられて、本当に幸せです」と素直に喜び、今後については「防衛を続けて、上に行っても狙えるような実力を付けていって。今日の内容では世界ベルトなんてまだまだ遠いと思う」と謙虚に語っていた。
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セミファイナルでは元IBF世界スーパーフェザー級王者でWBO7位の尾川堅一(帝拳)が、132ポンド(59・9キロ)契約8回戦で、フィリピン7位のアラン・アルベルカと対戦した。
尾川は1回に右ストレート、3回に左ボディーでダウンを奪い、4回1分4秒、右ボディーでKO勝ち。約1年ぶりの試合だった尾川は「すごい緊張したので集中してやった」と試合を振り返り、「苦しかったけど自分も成長できた」とこの1年を振り返った。
世界王者奪取の国内最年長記録は35歳9カ月。36歳の尾川は「最年長世界チャンピオン目指して頑張りたい。運に任せるというか流れに任せて、やるべきことをやって目指すだけ」と返り咲きを宣言していた。
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1位の浦川大将(帝拳)と村上雄大(角海老宝石)の間で争われた日本ライト級王座の最強挑戦者決定戦は、浦川の精度を村上の手数が上回り、判定2-1で村上がスプリット判定勝ち。来年のチャンピオン・カーニバルでの挑戦権を獲得した。王者の三代大訓は12月7日に後楽園ホールで丸田陽七太の挑戦を受けるため、その勝者に挑戦することになる。
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第2試合では俳優の赤井英和の息子・赤井英五郎(帝拳)が昨年の全日本新人王以来10カ月ぶりの試合となる再起戦に臨み、両親が最前列で見守る前で、これがデビュー戦のジャン・ウェンハオ(中国)に6回TKO勝ちを収めた。
タフなジャンに手を焼いたが、6回2分14秒、コーナーに詰めてメッタ打ちにしてTKO勝ち。試合間隔が空いたことで緊張し、「無理やり自分にウソついてほぐしてリングに上がった。リングに上がったら周りがけっこう見えた。冷静ではないが、自分にウソついて、ウソが本当になった」と明かした。今後については「まずランク入りしないといけない」と、日本ランク入りを目指す考えを語っていた。