５日にエディオンアリーナ大阪で開催された『Ｋ－１　ＷＯＲＬＤ　ＧＰ　２０２４』の一夜明け会見が６日、大阪市内で行われ、無差別級アジア予選で勝利したＫ－Ｊｅｅ、エロール・ジマーマン、クォン・ジャンウォンと、シナ・カリミアンへの後頭部への反則パンチを巡り裁定が主催者預かりとなったクラウディオ・イストラテが出席した。勝ち抜いた３選手は１２月１４日に国立代々木競技場第一体育館で開催される無差別級ＦＩＮＡＬへの進出が決定している。

　Ｋ－１の番長ジェロム・レ・バンナを右ハイキックで失神ＫＯしたＫ－Ｊｅｅは「勝ったのはうれしくて。でもバンナ選手のファンが多くて、喜んでくれている人は少ねぇなって。それはそうだなよとも思いました。でも勝てて良かった。バンナ選手への思いについては、どれだけ彼に思い入れがあったのかなという気持ちが入った試合でした」と振り返った。

　バンナが引退を表明したことについては「前日に引退試合になるかもと言っていて、最後の相手が俺になるのか、重いなと責任を感じていました。でも終わった後は引退試合の相手ができたのは、うれしいし、最後の相手ができて良かったなとは思いました。（バンナからは）会って、すごく良かったよと言われました。憧れの気持ちを押し殺してやってきたので、すごくうれしかったです」と、歴史の１ページを作れた喜びを明かした。

　Ｋ－Ｊｅｅが「最後の相手ができて良かったと思いました」と話したところで、隣席のジマーマンが机をたたいて「おいＫ－Ｊｅｅ、俺と戦え！」と対戦を要求。Ｋ－Ｊｅｅは「俺はいいけど、運営が…」と困惑しつつも「レジェンド狩りをやっちゃいましょう。俺は（ジマーマンにＫＯ負けした）山口選手とずっと一緒に練習してきたので」と応じた。

　ジマーマンは「俺はバンナと約束したんだ。次にＫ－Ｊｅｅと戦う時は俺が敵を討つと」と説明。バンナが失神ＫＯ負けしたシーンは「心が痛かったよ。だから敵を討つと約束した」と続けた。

　バンナを倒したＫ－Ｊｅｅのハイについては「試してもらってもいいよ。俺もハイキックで何人もＫＯしてきたから、どっちが相手を倒すのか競い合うのもいいだろう」とハイ合戦を宣言し、「俺は１００％倒しに行く。Ｋ－Ｊｅｅは山口ほどハートは強くない」と敵討ちに自信を見せた。

　Ｋ－Ｊｅｅは「俺はハイキックはあまり得意じゃないからそんなに使わないよ。ローキックの方が得意だから」と、山口のカーフキックに苦戦したジマーマンを念頭に置いたように反論。レジェンドとの連戦を「知らない強い選手よりかは、名前があるけどピーク過ぎたレジェンドはおいしいんで」と歓迎し、「（勝って愛称の）エロジマンをもらっちゃいましょう！」と挑発した。

　また、５日のアジア予選について、Ｋ－Ｊｅｅは「他の世界予選と比べるとレベルが低いかなと。世界予選の厳しいトーナメントを勝ち抜いた選手と、ヌルいアジア予選と違うとは思っています」と厳しく自己評価。ファイナルに向けて「狙われる立場には立っていない。僕が狙う立場なので、まだまだこれから。（戦いたい選手は）いないけど、１２月にどこまで自分を出せるかだと思っています」と語った。

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　イストラテは１ラウンドに左フックでカリミアンのアゴを打ち抜きダウンを奪ったが、クリンチで逃げるカリミアンの後頭部を右の拳でたたき、倒れたカリミアンが続行不能となったため、主催者預かりとなった。

　イストラテは「彼は男優としてオスカーを受賞してもいいような仕事をしたんじゃかな。ダウンをした時に心が折れ、その後にパンチをもらい倒れたままの方がいいと判断したんだろう」とバッサリ。「（後頭部への）あのパンチは力も入っていないし、軽くたたいただけ。その前のパンチで倒れてダメージがあったんだろう。格闘技をやったことがある人ならば分かると思うけど、早くクリンチを解けと頭を軽くポンとたたくような感じで、ダメージを与えるものではない」と主張し、「あれで倒れたり泣いたりするヤツは初めてだ」と酷評した。

　カリミアンは担架で運ばれ、救急車が呼ばれたという情報もあるが、イストラテは「演技だよ。よく分からないけど、救急車も演技なんじゃねえのか」と決めつけ、「ハリウッドデビューして映画に出るとか、（母国の）イランで映画でも作ればいい」と転職を勧奨。Ｋ－１のカルロス菊田プロデューサーは「何が起きたのか審判団と話し合って判断したい」と話していた。