矢吹正道 背水の陣で2年7カ月ぶり戴冠 昨春の左アキレス腱断裂を乗り越え 次なる野望は2階級制覇

 9回、ノンシンガをロープ際に追い詰める矢吹正道(撮影・石井剣太郎)
 試合後に(右から)長女・夢月さん、長男・克羽くん、妻・恭子さん(左)と記念撮影をする矢吹正道
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 「ボクシング・IBF世界ライトフライ級タイトルマッチ」(12日、愛知県国際展示場)

 挑戦者で同級2位の矢吹正道(32)=LUSH緑=が王者シベナティ・ノンシンガ(南アフリカ)を破り、新王者となった。矢吹の世界王座獲得は、世界ボクシング評議会(WBC)同級に続き2度目。矢吹は左ジャブを効果的に当てて主導権を握った。8回に最初にダウンを奪い、9回は連打で2度ダウンさせて勝負を決めた。ノンシンガは初防衛に失敗した。

 コーナーに駆け上がった矢吹が両手を突き上げた。昨年5月の左アキレス腱(けん)断裂を乗り越え、負けたら引退と決めていた背水の陣で3度のダウンを奪う完勝。ただ、2年7カ月ぶりに世界のベルトを抱いても固執はしない。歓喜のリング上で次のプランをぶち上げた。「階級を上げて、(アンソニー・)オラスクアガ選手(米国)とやりたいです」。14日・有明アリーナで防衛戦を控えるWBOフライ級王者を次の標的に挙げた。

 愛する家族からエネルギーをもらった。9月に行われたジュニア世代の全国大会で長女の夢月(ゆづき)さん(14)が3連覇を達成し、長男の克羽(かつば)君(11)も初めて頂点に立った。次は自分の番。子供を見守るスタンスは失敗OK。合言葉は「次、頑張れよ」。自身も寺地拳四朗との2戦で世界のベルトを奪い、再戦で失った。どんなやり方で、はい上がって前に進むか。父親として最高の手本を見せることができた。

 控室では改めてライトフライ級を卒業する方針を表明した。もうプロボクサーとしてのキャリアが、終盤に近づきつつあることは分かっている。「モチベーションが上がらない選手とやっても…。オラスクアガ選手となら打ち合って盛り上がる」。ベルトを手放してでも、胸躍る舞台を追い求めていく。

 ◆矢吹正道(やぶき・まさみち)本名・佐藤正道。1992年7月9日生まれ、三重県鈴鹿市出身。16年3月プロデビュー、20年7月に日本ライトフライ級王座決定戦を制して初タイトルを獲得。21年9月にWBC世界ライトフライ級王者の寺地拳四朗に10回TKO勝ちし、世界王座を奪取した。翌年3月、再戦で3回KO負けを喫して陥落。実弟はスーパーフェザー級世界ランカーの力石政法(大橋)。右ボクサーファイター。166センチ。

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