世界初戴冠の堤聖也、故・穴口一輝さんに「報告したい」多くは語らずもベルト見つめ一言 昨年12月に激闘を演じ年間最高試合

 「ボクシング・WBA世界バンタム級タイトルマッチ」(13日、有明アリーナ)

 元日本王者で同級2位の挑戦者・堤聖也(28)=角海老宝石=が、王者の井上拓真(28)=大橋=に挑み、終始攻勢に出て判定3-0で勝利した。高校時代のライバルにプロのリングで雪辱を果たし、世界王座初戴冠。「この瞬間のためにずっとやってきた、生きてきたので。月並みな表現だけど信じられない気持ち。自分はずっと弱いままなんじゃないかという怖さがずっとあったが、報われました」と目に涙を浮かべ、感無量の様子で語った。

 悲願の初戴冠となったが、昨年12月26日に日本王座戦で拳を交え、試合後に死去した穴口一輝さん(享年23歳)への思いを聞かれると、堤はベルトを見つめながら約10秒間考え込み、「(穴口さんに)報告はしたいですね」と一言話した。すぐに「ここ(試合後の会見)で言うことでもないかなと思います」と多くは語らなかったが、胸に秘める想いをにじませた。

 堤は昨年12月26日、穴口さんの挑戦を受け、激しい打ち合いでの激闘の末に王座防衛に成功。穴口さんは試合後に右硬膜下血腫で緊急開頭手術を受けたが、今年2月2日に帰らぬ人となった。この試合は23年度の年間最高試合に選ばれた。

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