堤聖也が初載冠 12年前の雪辱果たした 終了ゴングの瞬間に抱き合った両雄「拓真は僕の人生の恩人」

 「ボクシング・WBA世界バンタム級タイトルマッチ」(13日、有明アリーナ)

 WBAバンタム級王者の井上拓真(大橋)は堤聖也(角海老宝石)に0-3の判定で敗れ、3度目の防衛に失敗した。拓真は序盤から冷静に堤のアタックをさばいていたが、ラウンドが進むにつれて堤の手数の多さに苦しみ、10回には不運なダウンを喫するなど不本意な戦いでベルトを手放した。WBC王者の中谷潤人(M・T)との統一戦など、今後に期待されていたドリームマッチは完全に白紙。あまりにも痛すぎる敗戦となった。

 堤が12年の時を経て雪辱を果たした。スイッチスタイルの堤は1回、右構えで戦闘開始。3回に入ると、拓真をロープに詰めて連打を放つ場面を増やしていった。

 拓真も堅いガードからコンパクトなパンチを打ち返し「すごくうまくて、練習してきた動きがなかなか出なくて…。やっぱりうまいや、どうしよう?俺はこういうところでこける男なのか、と弱いところが何回も出た」と心が折れそうになったが、陣営の激励で「1ラウンド1ラウンド、心の灯をともすことができて、大事に戦えた」と徐々に立て直していった。

 10回、左フックで拓真をロープまで吹き飛ばし、ついにダウンを奪取。11、12回と泥くさく打ち合い、終了ゴングの瞬間に両雄は抱き合った。

 ジャッジは3者とも堤を支持し、堤は両手を突き上げて絶叫。涙した堤は「彼がいたからプロボクシングの世界に来て、ボクシングを続けて強くなれた。井上拓真は僕の人生の恩人であります」と好敵手に感謝した。

 95年組では7人目の世界王者となり、「僕は95年組の中で劣等感が強くて育ってきたから、トップの井上拓真からチャンピオンベルトを取れたのは本当に価値のあること」と喜びをかみしめた。

 昨年12月に自身と対戦後、今年2月に死去した穴口一輝さんについて聞かれると「報告はしたい」と話したが、「ここで言うことではないと思う」と言葉を重ねることはなかった。

 ◇堤 聖也(つつみ・せいや)1995年12月14日生まれ、熊本市出身。平成国際大卒。アマ戦績は84勝(40RSC)17敗。全国高校選抜優勝、関東リーグ戦2部4年連続全勝、国体準優勝などの実績を残す。2018年、B級でプロデビュー。22年、日本バンタム級王者。23年、モンスタートーナメント優勝。24年、日本王座返上。プロ戦績12勝(8KO)2分け。目標は元WBA世界スーパーフェザー級王者・内山高志。スタイルはスイッチ。166センチ。

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