「ボクシング・フェニックスバトル１２３」（１７日、後楽園ホール）

　ＩＢＦ世界スーパーフェザー級３位、ＷＢＣ６位、ＷＢＯ８位の力石政法（３０）＝大橋＝が、メインで前フィリピン同級王者のアルネル・バコナヘ（３０）＝フィリピン＝を２回２分３８秒、ＫＯで破り、移籍初戦と世界前哨戦を飾った。

　最前列で１２日にＩＢＦ世界ライトフライ級王者となった兄・矢吹正道（３２）＝ＬＵＳＨ緑＝が見守る中、力石は大橋秀行会長も舌を巻いたカウンターの左ボディーから、返しの右フックをズバリ。バコナヘは前のめりにダウンし、ボディーを押さえて苦悶しながらテンカウントを聞いた。

　力石は「結果的には２ラウンドＫＯで良かったけど、アッパーで倒したかった。地味な倒し方やったしね。ちょっとそこがしっくりこなかった」と試合を振り返った。

　「一番変わったことは、練習の充実がちょっと違いますよね。練習に行く日が楽しみに近いような。移籍してホントに良かったなと思います」と移籍効果を明かし、「世界戦が簡単に組めるような階級ではないので、いつでもあるように準備します。２度も３度もチャンスをもらう気はさらさらない。一発で必ず取ります」と宣言。

　フライ級転向を宣言している兄には「同時に兄弟世界王者になりたいんで。返上したら次フライ級で世界チャンピオンになれるか分からない。僕が世界チャンピオンになるまでライトフライ級におってほしいなというのが個人的な意見です」と呼びかけた。

　矢吹は「試合内容を見ると、今日はそこまで良くはないのかな。もっとできると思いますし」と辛口だったが、「こっちに来た方が伸びるに決まってますし、素晴らしい選択やと思います。まだまだ伸びる環境にいるんで、絶対強なると思う」と、弟の移籍という選択に太鼓判を押した。

　大橋秀行会長は「カウンターの左ボディーって、すごくいい勝ち方じゃないですかね。完全に効かせていて。サウスポーであのタイミングでボディーブローを打てる選手はあまりいないと思う」とたたえ、「来年は世界戦をやるよう準備しています」と明言した。

　力石は３月２２日、敵地イタリアでＷＢＣシルバースーパーフェザー級タイトルマッチ（日本未公認）に臨み、マイケル・マグネッシ（イタリア）から最終１２回に劇的なＴＫＯ勝ち。世界王座への挑戦権も獲得したが試合は実現せず、世界挑戦のチャンスを求めて７月２日付でＬＵＳＨ緑ジムから大橋ジムに移籍していた。

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　セミでは日本フェザー級王者の松本圭佑（２５）＝大橋＝が初のタイトル挑戦となる７位の中川公弘（３３）＝を２回２分２５秒、昨年１月以来となるＫＯで退け、４度目の防衛に成功した。

　前回の防衛戦は父の松本好二トレーナー、大橋秀行会長から内容に苦言を呈されたが、この日は１ラウンドの奇襲を冷静にさばき、２ラウンドに右フックでダウンを奪うと、連打でダウンを追加。さらに連打で倒してテンカウントを聞かせる、満点の回答だった。

　松本は「気持ちの部部分で、プロとしてどういった戦い方をすべきか考えて（練習を）やっていた」と説明し、「お客さんが途中で帰らない試合をこれからも突き詰めていきたい」とメインイベンターの責任感をにじませた。ＩＢＦ９位の世界ランカーでもあり、「伸びしろはたくさんあると思う。世界のレベルはもっと高いと思うので、食らいついていけるように、越していけるように精進していきたい」と、視線を世界に向けていた。

　大橋会長は「前の試合もこういう感じでいけばすぐ世界だった」と合格点を出し、来春のチャンピオン・カーニバルの防衛戦を経て、世界戦を考えるとした。

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　日本スーパーバンタム級王座最強挑戦者決定戦は、石井渡士也（ＲＥ：ＢＯＯＴ）が、２年前に引き分けた池側純（角海老宝石）を判定３－０で破り、１年前のタイトル挑戦で引き分けている王者・下町俊貴（グリーンツダ）への再挑戦権を獲得した。

　石井は「試合中もすごくキツくて、減量もすごいキツかった」と振り返り、周囲に感謝。「まんまと相手の手口に乗ってしまった」と内容を反省しつつ、周囲のサポートとともに「毎日コツコツやってきたので、おつりがでたのかなと思う」と勝因を挙げた。

　下町との再戦に向けて「（下町は）国内だったら一番強いと思う。それを倒したら国内ではホンモノになれるんじゃないかなと思うので、気を入れてやっていきたい」と意気込んでいた。