重里侃太朗、井岡一翔のハッパに奮い立ち最強挑戦者決定戦へ「やんねんぞ。しっかり決めんねんぞ。見据えてるのはここじゃない」

 「ボクシング・日本スーパーフライ級最強挑戦者決定戦」(31日、後楽園ホール)

 前日計量が30日、都内のJBCで行われ、1位の重里侃太朗(志成)は51・9キロ、2位の山口仁也(三迫)は52・0キロで、それぞれクリアした。

 重里は慕っている先輩の井岡一翔に常日頃から「オマエやんねんぞ。しっかり決めんねんぞ。見据えてるのはここじゃないし」とハッパをかけられ、奮い立っていることを明かした。

 ボクシングでは95年組から続々と世界王者が誕生しているが、重里と同じ96年組も4月に西田凌佑がIBF世界バンタム級王者、今月には村田昴がWBOアジア・パシフィックスーパーバンタム級王座を獲得。両者とはアマ時代に対戦経験があり、「足止めしてられない。見据えるのは世界なんで。同期で活躍してる他ジムの選手もいっぱいいますし、負けてられないなと奮い立たせられます。ホント力もらってます」と、大きな刺激を受けている。

 対戦相手の山口については「攻守バランスの取れたいい選手。相手にとって不足なし」としつつも、「見据えてるのも明確に世界というのがあるんで、目の前に立ったらやるよという感じです。これに勝って、日本王座をしっかり取って、世界を目指していきたい。急にボーンとか飛ぶの無理なんで、一歩一歩着実に、確実にやります」と、大きな目標への障壁の一つのように語った。

 一方の山口も「どんなボクサーにもこれから対応していかないといけないと思うので、それができるように、チャンピオンになれるように考えて練習してきました」と、戴冠前提のコメント。重里を「バランスのいいボクサー」と評しつつ、「パンチをもらわずに倒したい。ただ勝てばそれでいい。勝ちにこだわって自分のボクシングをすれば勝ちになると思います」と必勝宣言した。

 今月は同門の渡来美響がスーパーライト級の最強挑戦者決定戦で4回KO勝ちを収めており、「すごい刺激もらって、次はやっと自分の番やなという感じです」。弟の友士も今月、韓国でプロ2戦目に勝利しており、「次は自分の出番やなという感じです」と、言葉を重ねていた。

  ◇  ◇

 今年6月にデビューし、1試合でWBA世界フライ級15位に入ったアマ3冠の吉良大弥(志成)は、セミファイナルのフライ級8回戦に登場。吉良は50・7キロ、対戦相手のオルランド・ピノ(ベネズエラ)は50・5キロでそれぞれクリアした。

 デビュー戦はスーパーフライ級だったが、今回はフライ級。「この階級がベストの階級なんかな。前回は落としきらずに終われたんで。今回しっかりいい体で、ちょうど自分の体にフィットした感じになったんで」と手応え十分だ。

 髪も3日前に赤く染め、「イメージカラーみたいなのがあったらいいかなと思って。赤は好きやし、周りの人にも赤のイメージがあるって言われるんで。野蛮というか血もあるし、熱とかもありつつ、愛情とかそういうの感じるので、一番好きですね」と、赤を選んだ理由を説明した。

 デビュー戦は1ラウンドでKOしたが、今回は「試合は楽しくできる方なので、長い方がいいなと思うんですけど、中途半端に判定までいって勝ったか負けたか分からんみたいな状態で終わるのは良くないので、最終的には倒すという気持ち」だという。

 世界ランク入りについては「分かりやすくなるので。上位のランキングの人に勝って上がって行けばいいだけやから、明確になって良かったなという気持ちです」と、歓迎していた。

  ◇  ◇

 キックボクシング中量級で日本を代表する選手の一人だった緑川創(EBISU K’s BOX)は、今回がデビュー戦で、71・0キロ契約6回戦でワン・ダソン(中国)と対戦。緑川は70・9キロ、ワンは70・3キロでパスした。

 緑川は老舗の新日本キックやRISE、REBELS、NO KICK,NO LIFEなどで活躍し、ムエタイ2大殿堂の一つラジャダムナンスタジアムで王座決定戦に出場したこともある。

 日本ウエルター級王座、WKBA世界スーパーウエルター級王座などを戴冠し、K-1ワールドMAX世界王者のアンディ・サワーや、RISE王者の“ブラックパンサー”ベイノアらを撃破。年2月の海人戦を最後に引退した。

 本格的にボクシングの練習を始めたのは昨夏。「もともとボクシングはやりたかった。試合もしたかった」という緑川だが、日本ではボクシングは他競技との兼業ができないため、現役時代はできなかった。「やりたいなという気持ちがあるまま、自分の一回きりの人生過ごしていくのイヤだなと思って。時間は経っていくだけなんで」と、37歳でのプロデビューとなった。ボクシングの練習自体は15年以上続けているという。

 緑川は「計量が1年8カ月ぶりなんで、懐かしいなっていうのと、久しぶりに飲食のありがたみを感じます」と笑顔。「焦らず、今までボクシングに向き合って練習してきたことを試合で出せれば。やるべきことをやって試合に勝てれば」と試合に向けて話し、「強い人がいれば倒したいし、ベルトも巻きたいし、行けるところまで行こうかなと思っています」とボクシングでの目標を語った。

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