岡沢セオン、原田周大、片岡雷斗がロス五輪金目指し大橋ジム所属 大橋会長「アマチュアボクシングに恩返しできたら」
アマボクシングのパリ五輪代表である岡沢セオン(29)=INSPA=と原田周大(23)=専大=、高校6冠で11月のアジアユース選手権51キロ級優勝の片岡雷斗(18)=習志野高=が、プロボクシングの4団体統一世界スーパーバンタム級王者・井上尚弥(31)らを擁する大橋ジムに所属して2028年のロサンゼルス五輪を目指すことが9日、横浜市内の同ジムで発表された。
3選手は大橋ジム、NTTドコモの映像配信サービス「Lemino」とサポート契約を結び、経済的な心配をすることなく、同ジムを拠点に練習していく。契約期間は先月からロス五輪の年までになる。大橋秀行会長によれば、日本ボクシング界では前例のない試みだという。
大橋氏も横浜高、専大とアマ出身で、1984年ロス五輪は最終選考で敗退。「今でも悪夢に出てきてうなされる。自信があったのに、悔しくて」という。「アマチュアボクシングあって今の自分がいる、大橋ジムがあると言っても過言ではありません。アマチュアボクシングに何か恩返しができたらいいなとずっと考えていた」と、今回の試みをアマへの恩返しとした。
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専大で大橋氏の後輩にあたる原田は「アマチュアボクシングを続ける場所を続ける場所を探していて、練習環境だったりサポートがない中で、こういう形で、僕が突き進むオリンピックにもう一度出て金メダルを取りたいという夢を大橋会長がかなえてくれて、ドコモさん、Leminoさんがサポートしてくれるおかげでこれから続けられる」と感謝した。
11月に尚弥とスパーリングを2回行い、尚弥のリクエストでさらに2回のスパーリングを重ねた原田は「思った通りにホントにすごい強い人で、練習の時はすごい緊張感があって一言も発せられないくらい緊張感がある中で、でも終われば、アドバイスを聞いたりすれば普通に優しく答えてくれたりする人間力もあって、すごい尊敬するばかりでした」と振り返った。「もっと距離使った方がいいよ。せっかく距離がうまいんだから、無理に打とうとしなくてもいいんじゃない?」と助言されたという。
パリ五輪では「ホントに悔しい思いで、全然自分の実力が足りなかったのが分かった」と痛感したが、11月末に英国で開催されたW杯ファイナルでは準優勝し、「誰も怖くなかった。負けた相手にもリベンジできたし、ホントに自分自身強くなっているんだなというのを感じて。決勝の相手も僕レベルではまだ勝てないと言われてる選手(ルイス・オリベイラ)に対して、けっこう勝てたんじゃないかなというところぐらいまで成長できてるのは自信になるし、やってきたことは間違っていなかったんだな、あとはこれを続けるだけだと今は思ってます」と早くも手応え。「今までで一番いい環境で練習させてもらってるので、金メダルを取ることに関しては全力でできるのではないかと思っています」と感じている。
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岡沢は大橋ジムの平岡アンディとは幼なじみで、平岡が岡沢の実家に遊びにくるなど親しく、スパーリングを行ったこともあるという。
パリ五輪前は「金取って辞めてやろうと思って」、パリ五輪後は「1回辞めようと思って、完全に何もしていない時期もあった」と告白。「この環境があれば絶対今よりも強くなれると思って。もう一回チャンスもらって、なんでやるかといったらやっぱり取れなかった金をもう一回取りに行くためだと思うんで、ホントにラストチャンスだと思ってやりたい」と、背水の陣を敷いた。
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片岡はロス五輪を目指すかプロ入りかを大橋氏に相談し、ロスで金を取ってからプロ入りしても遅くないと背中を押されたという。「結果で恩返しできるように、ロスでの金メダル目指して頑張ります」と誓い、「自信はあります」ときっぱり。将来は「人間力もあって、見ていると夢と希望を持てる、井上尚弥さんのようなボクサーになりたい」という。
7人きょうだいの3番目(三男)で、祖父・善一さんはプロボクサーだった。父・圭さん(49)の影響で幼少時からキックボクシングを始め、小4でボクシングに転向。アマ戦績は54勝1敗で、1敗は高2のインターハイ決勝でのものだ。
大橋氏は片岡を「今まで見た中で一番の天才かもですね。この50年。才能という点ではね。至近距離での目の良さというのかな。久しく見ていない。今までにあまりなかったかな」と絶賛していた。